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「ちゃんと撮れましたね」
「はい⋯⋯」
自分のことのように嬉しそうに笑う玲美に戸惑いを混じえた笑いを浮かべている最中、用が済んだとばかりに去ろうとするのを慌てて呼び止めた。
「あ、あの、上山さんっ」
「はい、なんでしょう」
「あ、えっ⋯⋯と⋯⋯」
急にどうして撮り方を教えてくれたのか。
普段、さほど話したことがない相手でまだ慣れてないのもあって、言葉が詰まってしまった。
「何かご不明な点でも?」
「いえ、そういうわけではない、のですけど⋯⋯」
「そうですか。なら、私はこれで失礼します」
「あ⋯⋯」
こちらに一礼した上山は、さっさと自分の持ち場へと戻って行った。
「姫宮さん、上山さんに何か訊きたいことでもあったんですか?」
「いえ、ただ急に教えて頂いたので、どうしてなのかなと⋯⋯あと、お礼をと思ったのですが、言いそびれてしまって⋯⋯」
「そうですよね。私もあれは驚きました。ですけど、困っていたから何かと助けたかったのかもしれませんね。皆さん、本当の家族のように優しくて、温かいですから」
ふふ、とまるで微笑ましいと言いたげに暖かい目を向けてきた。
玲美の言う通り、困っていたりすると自分のことのように心配してくれたり、どうしたのかと話を聞いてくれようとする。
その際、無理に聞き出そうとはせず、こちらが話したいと思った時に聞いてくれる。
実の両親に捨てられたのも当然な扱いをされ、自分でどうにかしなければならないと思った矢先で、愛のない欲望と暴力が渦巻く、終わりのない地獄のような日々を送らされ、誰も話なんて聞いてくれない、感情もあっても仕方ないと自分というものを捨てた姫宮を優しく抱きしめるような温かい人達。
「本当に、そう思います」
噛みしめるように言った。
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