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床に寝転がってお絵描きする大河を前に、上山と並んで座っていた。 気まずい。 たまたま起きていたとはいえ、聞き耳を立てていたというあまりにも失礼なことをしてしまい、挙句、関係ないのに割って入ってしまった。 「まさか、姫宮様が聞いていらっしゃるとは思いませんでした」 「本当にすみません⋯⋯! 聞くつもりはなかったのですけど⋯⋯」 「いえ。⋯⋯いずれ知られてしまうことでしたので」 ぽつりと呟く上山のことを見つめた。 と、彼女が見つめ返した。 「⋯⋯とかっこつけましたが、安野さんから姫宮様が気にされていると言ってきましたので、この機会に私が言うのでと安野さんから言うのを控えてもらいました」 だから、訊いたら今すぐにでも言いに来る安野が何も言って来なかったのか。 少し不安だったことが取り除けて安心したが、根源の不安を取り除けていない。 「大河様が私に対しての見る目が他の人達と違う、ということが気になったことでしたよね?」 「⋯⋯はい」 「恐らくそれは、急に私がいなくなったことと関係があるかもしれませんね」 それは先ほど大河に対しても言っていたことだ。 「順追って話しましょう」と上山は居住まいを正した。 「私、姫宮様とお会いする前、ある方の依頼で子どものお世話をすることになりました。それが大河様だったのです。初めて会った頃の大河様はまだ産まれたばかりでして、それはそれはとても可愛らしくありました」 ふっと笑う。 目を瞠った。 安野達よりも彼女と接する機会がなかったのもあって、笑ったところを見たことがなかった。 急に周りが驚いている顔をしている時があるが、姫宮が不意にこんな顔をしていたからなのかと氷解し、悪い意味で捉えていたことを払拭させた。 大河が描いた絵も真実だった。

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