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ほんの少しの間の後、上山は語った。
赤ん坊の頃からよく笑う子で、ハイハイができるようになってからはいわば後追いと呼ばれるどこへでもついていこうとしたり、抱っこが好きなようで、寝かしつけの時は必ず抱っこをしないといけなく、かといってそれで寝たから大丈夫というわけではなく、降ろそうとしたら何かに気づいて起きてしまう。
大河は平均よりも喋るのが遅かったようだった。
必ずしもその平均になれば喋るわけではないと分かっていても不安はあった。ところが、ある日急に喋り出し、それから言葉を覚えていく度、こんなことができた、あんなことができたと逐一報告したりと、今まで喋らなかった分まで喋っているかのような、自らいっぱい喋るようになった。
イヤイヤ期に差しかかった頃、いつも以上にべったりとなってしまい、料理の最中など危ないことから離したいのに、「いやっ! なんではなそうとするのっ!」とよりくっついてくるから苦労した。
いつの間にかうたた寝する前に観ていた『ハニワのだいこうしん!』と母親を描くようになったのは三歳の頃。
その頃⋯⋯。
何がきっかけで描くようになったのか。
訊いてもいいのだろうか。訊いたら、後悔しないだろうか。
あまりの緊張で胃ごと口から出そうになり、それは訊いてはならないと自身の身体が訴えているようで、そう思った時、姫宮は言葉ごと押し込んだ。
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