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「慶様、好きです」 「あ⋯⋯ああ、それは私も⋯⋯」 彼が言い終えるか言い終えないうちに、その頬を包み込むように手を添え、唇を重ねた。 軽く、ではなく、長く。 自分はこのぐらい好きなんだと愛情表現を示して。 それからちゅ、ちゅとリップ音を立てていた姫宮は、戸惑いを隠せない御月堂の頬が目立つぐらい赤らめていたことに気づき、頬を緩めた。 彼も嬉しいと思ってくれている。嬉しい。 戸惑っているのは、こういうことをするのが初めてだから。さっきだって不慣れそうにキスをしていた。 可愛い。 そうだから、こっちが誘導してあげないと。 分かりやすく気持ちを表してくれた頬を愛おしく撫でながら、首を傾け、何度も重ね合わせた。 彼の唇に触れる度に身体の奥底から悦んでいるのをじわじわと感じるが、この唇をこじ開けて、アルファ()の唾液を取り込んで、浅ましく発情するこの身体を満足させたい。 一方的に口を塞がれ、耐えきれなくなったのか、口を開きかけたその隙に舌を入れようとした時、強く肩を掴まれ、引き離されてしまった。 痛いというよりも、なんでという気持ちが上回った。 「愛賀、今⋯⋯何を」 「何って、舌を入れようと」 「⋯⋯っ、さすがにそこまでされると、持たない。今日はせめてキスだけに⋯⋯」 「じゃあ⋯⋯愛賀の触って」 何を、という彼の顔を尻目に、その手を取ってズボン越しにでも分かるぐらいに膨らむソレを触れさせる。 触れた瞬間、ぴくりと指先が動いたようだが、押し付けた。

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