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81.※

「⋯⋯口ではしない」 空気がピリついた。 その肌がピリつく感覚も恐れというよりも、鎮まりかけていた興奮が少しばかり覚えていたのも束の間、怒ってしまったとハッとした彼は、淡々というよりも申し訳なさそうな口調で言い、ポケットからハンカチを取り出して、それで拭こうとした。 ところが、敏感部でさらには発情期(ヒート)もあり、先が柔らかいものに触れられただけで軽く達した。 「⋯⋯悪い⋯⋯っ」 「わざとぉー? ふふっ、⋯⋯いいよ? 本当はシたいんだもんね?── い⋯⋯っ」 足首を掴んでいた指が食い込む。 短い悲鳴を上げた直後、「あ⋯⋯」とすぐに離した御月堂が髪をくしゃくしゃにかき上げた。 その(のち)、深く息を吐いた。 「⋯⋯悪いが、このままにしてもらう」 素早く下着とズボンを履かされる。 あっと驚くその様に、しかし、下着は紐であるのだが、ただ覆う形だけとなり、ぴったりとしてない不快さを覚えた。 いけずっと、頬を膨らませた。 しかしすぐに気を取り直し、「じゃあ!」と気を取り直した。 「愛賀をおきがえさせてくれたお礼に、慶さまの慰めてあげようかっ」 「⋯⋯いいからっ」 肩を掴んだ御月堂によって無理やり寝かされた。 「⋯⋯先ほどから手荒な真似をしてしまって申し訳ない。⋯⋯このまま大人しくしてくれると助かる」 掴んでいた手が震えていた。 オメガのフェロモンが充満していて、アルファであろうお方が理性を保てるはずがなかった。 とうに限界を超えているはずなのに、本能を押し殺している。 あまりにも律儀で、そんな生真面目な彼を暴いてやりたい、なんていじわるだろうか。

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