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突然、意識を取り戻したらしい大河がいそいそとボードを押した。 『げんきになって』 目を丸くしたのも束の間、ふっと笑った。 「うん。元気になったら、一緒に遊んでもいい⋯⋯?」 遊ぼう、と言えばいいのについ恐る恐るという訊き方をしてしまった。 小口が休みで二人きりになった時、一緒に遊んではくれたが、今度はないと後ろ向きな気持ちが過ぎってしまったせいだ。 段々と困ったような笑い方を見せてしまっていると、大河はすぐに頷いた。 それから『あそぼう』とゆっくりとした手つきで押してくれた。 はっと息を呑む。嬉しくて胸がじんわりと暖かくなる。 拒むどころか受け入れてくれた息子にさっきよりも笑みを深めた。 「ありがとう、大河」 そう言うや否や大河はこれでもかと目をまん丸にした後、その場を立ち去った。 そのあまりにも急な出来事に目を瞬かせた。 「⋯⋯ここまで来ると、限界が過ぎますよ。⋯⋯とはいえ、わたしもさすがに毒気が抜かれるほどでしたけど」 「え、え⋯⋯私、何か⋯⋯」 「悪いことは全く。ただ笑顔が素敵過ぎて、安野さんが大げさに言う理由が十二分に分かったということですかね」 いつもよりははっきりとした表情を見せたとは思ったが、あそこまでとは。 確かに見たことがないぐらい顔を真っ赤にさせているなとは思ったけれども。 ひとまず、不快に思わせる顔をしてないことが分かって安堵した。 「わたしがいつまでいても姫宮が休まらないでしょうし、大河さまにまた嫉妬されないので行きますね」 「はい。大河のことよろしくお願いします」 「ええ、では姫宮さまはお大事に」

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