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笑われて恥ずかしいと思ったのか、まん丸ほっぺを赤らめた大河がさっさとその場から去ってしまった。
「あ⋯⋯」
「反応が可愛らしいですね」
「さすがに慣れて欲しいものですねぇ」
両手を組んで抑えきれないといった頬を緩ませた江藤とやれやれとため息混じりに小口が言った。
今まで触れていいものかと思って、そのようなことをしなかったが、毎度大河が驚いてしまうとは思わなかった。
あの子が慣れるぐらい触れた方がいいかもしれない。だが、こっちまで驚いてしまうぐらいの反応が見られなくなってしまうのも寂しい。
そう思うのは、わがままで可哀想だろうか。
「なんでもいいですけど、遊ぶ約束をしましたし、大河さまの所へ行きましょうか」
「あ、はい」
「楽しんでくださいね」
江藤の声を背に、一歩前にいた小口の後について行った。
大河はおもちゃ置き場で、広げていたおもちゃで一人で遊んでいた。
と、ソファでその様子を見守る者がいた。
「上山さん⋯⋯?」
他の持ち場にいるかと思った彼女に、疑問のような恐る恐るというような声で掛けた。
「では、わたしはあっちに行ってんで」と早々に立ち去った小口に目もくれず、振り返った上山と目が合った。
「あちらの話は終わりましたか?」
「ええ、はい」
「私が何故ここにいるのかと疑問に思っているようですね。今日は、大河様の子守りをするようにことつかっております。⋯⋯というのは建前で、姫宮様。あなた様が発情期 が終わってすぐに言わなければならないことがあります」
スッと立ち上がった上山が深く頭を下げた。
「あの時は申し訳ございませんでした。私が無神経なことを言ってしまったせいで、姫宮様の気に障らせてしまいました」
急にどうして頭なんて下げるのかと思ったが、あの時のことをずっと自分のせいで姫宮が泣いてしまったと誤解させたままだったことを思い出した。
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