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改めて手元に目を向けた上山は綻ばせていた。
そんな横顔を見ていた姫宮もつられて微笑んでいた。
「お礼返しっていうのも違うと思いますが、私も大河様に何か贈りたいですね」
「大河の誕生日がそろそろですし、その時にあげてはいかがでしょう」
「え、大河様の誕生日⋯⋯」
ぱっと思いついたことをただ言っただけだった。それなのに、何故か驚いた顔をする。
まるで、意外と言うような反応だった。
何かいけないことでも言ってしまっただろうか。
こちらとしてはようやく我が子のことを盛大に祝えると思っていたのだが。
と、不自然に言葉を切った上山が、「あ、ああそうなのですね」と無理やり言い直した。
「ちょうどいい頃合いに大河様に贈ることができて嬉しく思います。ちなみにいつなのですか?」
「12月13日なのですが⋯⋯」
「12月⋯⋯そろそろですね。あまり時間がないですから、大した物は贈れなさそうですね⋯⋯」
「そうですね⋯⋯」
「何やら楽しそうな相談をしてますね」
ビクッと肩が上がるぐらい驚いた。
思わず振り返ると、ソファ越しにいつの間にかいた安野達が言葉通りの楽しげな顔をしていたが、安野と目が合うと「驚かせてしまい申し訳ありません」と眉を下げた。
「いつまでも姫宮様が大河様と遊ばないので、どうされたのかと様子を伺いに来たのですが、なるほど大河様の」
「ちょうどいい頃合いで知れて良かったです。私も何かプレゼントしたいですね」
「私も! 私もこの機会に編みぐるみをあげたいです!」
今井も江藤もその気になり、何をあげようかと個々で話し合っていた。
上山だけの話だった大河の誕生日プレゼントが安野達もあげる気になってくると、姫宮も何かあげたくなってきた。
だが、何をあげればいいのだろう。我が息子ながらに何をあげれば喜んでくれるのか分からない。
一番あげるべき立場でもあるのにこんなでは立場がない。
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