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「姫宮様は何をあげますか?」 「私は⋯⋯」 皆が一斉に姫宮のことを見てくる。 それもどこか期待した眼差しで。 そのように見られると「何も思い浮かばない」と言い出しにくい。 何かないだろうかと焦りだす中、どうにかこうにか捻りだそうとしていた。 「当日までお楽しみということでしょうか」 「⋯⋯ぇ」 「それも面白いですね。自分の誕生日じゃなくてもわくわくしますね」 「あ、あの⋯⋯」 「ここで話してますと、大河様にも知られてしまいますしね。では同日までお互い内緒に」 「当日、大河様が喜んでくださるといいですね」と安野がにこりと笑いかけてきたのを、何とも言えない表情で返し、それぞれ持ち場へ行ってしまった。 どうしよう。 ぽつんと一人取り残された姫宮は困り果てていた。 今からプレゼントを考え、買いに行かないと当日に間に合わないかもしれない。 それこそ大河をがっかりさせてしまう。 産まれて初めて大河のお祝いごとにそんな残念な気持ちにさせたくない。 けれども、どうしたら。 焦れば焦るほどかえっていいことも思いつかないが、焦らずにはいられない。 そのうちソファに座り込んで悩んでいる時、大河がやってきたことで、約束していたことを思い出した。 が、今の姫宮にはその気にはならず、どこか上の空だった。 だから、その様子を気にかけていた人がいたのも気づかずに。

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