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101.

今日という日がそろそろ終わりを告げようとする時間。 姫宮は自室で一人、ベッドで仰向けになって案を巡らせていた。 しかし、未だに何も思い浮かばない。 どうしたら思い浮かぶだろうか。やはりいっそのこと周りに訊いて参考にした方がいいかもしれない。 そういうことを訊くのはおかしいことではない。恥ずかしいことでもない、はずだ。 明日、なるべく大河がいない時にでも訊いてみようかと思い立った時。 コンコンと扉を叩く音が聞こえた。 こんな時間に誰だろうと、思った少し後、「姫宮様、少しよろしいでしょうか」という声を聞いた時、聞き間違いかと思った。 確か、今日は遅くまでいないという話だったはず。 「あ、はい。いいですよ」 思わず上半身を起こし、身構えた姫宮は緊張した声音で返すと、「失礼します」と断りを入れて扉を開けた。 「夜分遅くに申し訳ございません」 「あ、いえ。全然構わないのですけど⋯⋯」 「姫宮さん、私も失礼します」 丁寧に頭を下げる上山に続いて、安心させるような笑みを見せる江藤が入ってきた。 この二人が揃っているのは珍しいことだと思われる。 何故、この二人がわざわざ姫宮の部屋に何の用で来たのだろう。 「あ、えと、私に何か用ですか⋯⋯?」 「大河様のプレゼントのことで酷く悩んでおられていたので」 「姫宮様がお困りかと思いまして、なるべく一人の時に伺おうと思っていたのです」 二人に言われて、息を呑んだ。 二人には言わずとも考えていることは筒抜けだったようだ。 いや、大河と遊んでいる時も食事中も何かと上の空だったから、誰しもが何かあったのだろうと思われていたからかもしれないが。 それでも、何かと気にかけてくれていて、大河に恐らく気づかれないだろうこの時間に来てくれたのだろう。 その優しさが沁みる。

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