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103.
肩を落として言う彼女に、姫宮は思い出したかのように枕元の方へ振り返る。
そこには、枕を囲うようにハニワ達が並んでいる。
何故、ハニワなのかと思ったが、本来はこのハニワ達も大河のために編んでいたのかと分かった途端、自分のところに置いてはいけないと罪悪感を覚えた。
「江藤さん、このハニワ達をお返しします」
「えっ、あ! いえいえ! それは姫宮さんにと編んだ物です! 姫宮さんに喜んでもらいたくて、はりきって大量生産してしまったのです! 大河様には今回改めて編むので、どうかお気になさらず!」
首と両手を思いきり振って、「違う! 違うんです〜!」と弁明をはかろうとしていた。
彼女にここまで言わせてしまうと、かえって申し訳なく感じ、「はい、分かりました」と言って、聞き入れた。
ひとつ手に取って、ハニワの手をつまんでは動かしていると、「私に提案があるのですが」と控えめに手を上げて上山が言った。
「姫宮様もハニワの編みぐるみにしましょう」
「えっ」
「いいですね! 姫宮さんのところにあるハニワ達みたいにいくらあってもいいですし!」
「え、え⋯⋯いくらあっても本当によろしいでしょうか」
「いいと思いますよ。大河様はハニワが何よりも大好きなのでしょうし、喜ばれると思います」
「そうでしょうか⋯⋯」
「そうですよ! アニメグッズは大量生産で誰かしら持っているのに対し、姫宮様がこれからされることは手作りで唯一無二の物ですから、特別感が増すと思われますよ。許容範囲です」
ふわっと微笑んだ。
ハニワには目がない大河だ。それに彼女が言う特別感がある物を作ったら、喜んでもらえると思いたい。
「では、そうします」と一応承諾したが、ふとある疑問が浮かんだ。
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