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少し寝たおかげか、頭がスッキリとし、それは同時に今夜もまた夜更かししてしまいそうになることを意味する。 「姫宮さん、今日お昼寝をしたそうですね」 今日もまた江藤に教えてもらいつつ、二周目の半分程度ができた頃、不意に言ってきた。 「あ、はい。そうです」 「お昼寝してしまうほどきちんと寝れてないということですよね。もしかして遅くまで編んでたりしていたのですか?」 「⋯⋯はい」 小口から聞いたのだろうか。それとも姫宮があそこで寝ていたから、知らぬ間に見られていたのかもしれない。 江藤にも心配させてしまったと罰が悪そうにしていた。 「そこまで焦らなくても間に合いますよ。それに昼間にしっかり寝てしまったら、夜が寝れなくなって、そのせいで生活リズムが崩れてしまって、もしかしたら具合が悪くなってしまい、それこそ大河様のプレゼントを作っている場合じゃなくなりますよ」 「⋯⋯はい、すみません」 ごもっともだ。ここに暮らす前からだいぶ崩れてしまい、それがなかなか直らず、気を張ってないと日中を送ることさえ億劫に感じてしまうほどだ。 言われても仕方ないと自嘲にも似た顔をしていると、「ちょっと熱が入ってしまいましたね」と溜まったものを吐くように言った。 「ですが、思わず言ってしまうほど姫宮さんのことが心配だということはご理解いただけたらと思います。私は姫宮さんの姉でもあるので」 「はい」 胸に手を添えて冗談のように言う江藤に、言い過ぎてしまい、姫宮が落ち込んでいると思い、気を利かせてくれたのかと思うと、緊張が解れた。 小口もそうだったが、周りが気づいてしまうほど無理していたのだ。江藤が言うように焦らずやっていけばいい。 「さて、続きを致しましょう」と江藤が言い、手元を見やった。

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