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115.
苦笑にも似た顔を浮かべた姫宮は「分かった」と言った。
「大河がそう言うのなら、そうさせてもらうね」
大河がうんと頷いた後、「遅くまで起きていると明日起きられなくなっちゃうから、もう寝よう」とベッドへと促した。
ベッドに登り、枕に頭を預けた大河は、姫宮が抱えていたハニワ達を元の場所に置いてもなおじっと見ていた。
やっぱり、欲しいと思っているようだった。
「⋯⋯大河。ハニワのこと気になる?」
そう言った瞬間、ハッとし枕に顔を埋めた。
悪いことをしたわけでもないのにそんなことをしなくてもいいのにと思った姫宮は、だが、どうしようと悩んだ。
大好きだからつい見てしまうのは仕方ない。しかし、大河の言い分はこれらは姫宮のものだから何がなんでも自分の物にはしない。
このまま何もなかったかのように振舞ってもいい話なのだが、どことなく気になることだった。
かと言って、今のところいい案が思いつかない。
もらうことを拒む息子がそれでも気になってしまうから、あげることはせずに納得すること。
ゆっくりと考えていた時、納得しそうな考えを思いついた。
「⋯⋯大河。大河がハニワをもらうのは嫌なんだよね」
そっと尋ねる。と、やがて少しばかり顔を上げた大河がゆっくりと頷いた。
「えと⋯⋯じゃあ⋯⋯今だけ、大河がハニワ達を触ってもいいよ。これなら、あげたわけじゃないから、いいと思うんだけど⋯⋯」
頭の中でそれらしい案が浮かんだとしても、口にしてみると上手く説明ができない。
そのせいか大河はすぐに反応をせず、じっくりと考え込んでいるようだった。
「えと、このハニワ達は、今は大河の自由にしてもらっていいんだ。撫でてもいいし、抱っこもしていいし」
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