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125.
「お前と同じくらい大切な相手の記念すべき日だ。何があろうと来る」
なんてことないように彼はそう言った。
大河は御月堂のことを良く思ってない様子だが、御月堂はそれでも仲良くしてくれようとする。
あからさまに嫌われていると感じていたら、自分であれば身を引いてそのままにしてしまう。しかし、御月堂はそのようなことを一切せず、一歩歩み寄ってくれる。
そういったところは人として尊敬する点であり、そして好きと言えるところだった。
「やっぱり慶様は優しい方です」
「⋯⋯そう、か」
大河に向けたようなふんわりとした笑みを見せた。
途端、御月堂は口元を隠し、やや目を逸らした。
一瞬嫌がったのかと思ったが、前見た時よりも頬を染めていたことから照れ隠ししていたのだと気づいた。
可愛い。
ごまかすように咳払いした後、御月堂は言った。
「大河に渡したい物があるのだが、今いいだろうか」
「今、ですか⋯⋯」
先ほどの出来事を思い出す。
しかし御月堂の場合は別の話だろう。けれども、今の大河はケーキを食べる気分でも、ましてや御月堂からプレゼントをもらう気分でもなさそうだ。
どうしたら。
助けを求めるように安野の方に目線を向けた。
「今渡しては良くなさそうか?」
「えぇ⋯⋯」
返答に困っていると、「お話の最中失礼します」と安野が入ってきた。
「御月堂様。お時間の方は大丈夫でしょうか」
「ああ。今日の仕事はすでに終わらせてある」
「左様でございますか。でしたら、こちらの席でごゆっくりしていただけたらと」
安野がそう言って、椅子を引いた。
その席は普段姫宮が座っているところだった。
今は、大河が座っている席に姫宮が座っている。
ついでにいうと大河はいわゆる誕生日席に座らせていた。
「では、そうさせてもらう」と御月堂はその席に座り、松下は安野が席を用意してくれたが、「私はこのままで」と言って断り、御月堂の後ろに控えていた。
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