131 / 139

131.

玲美も本当は直接連絡が取りたいけど、御月堂と同じような理由でもどかしい気持ちでいたと吐露し、話し合いに参加していた頃、とうに興味をなくしていた大河は自分のために用意されたハニワのケーキを食べ始め、席に戻っていた伶介も一緒になって食べていた。 「おいしーね、たーちゃん」 怜士がそう声を掛けると、大河は素直に頷いていた。 「たーちゃんのけーきも、おなじちょこみたい?」 反応を見せない大河にあまり分かってないのかなと思った姫宮は、「そうだよ」と代わりに答えた。 「ハニワは茶色だからチョコにしようって。伶介くんのも同じチョコ味のハニワの形したケーキにしたんだよ」 「たーちゃんのとおなじものがたべれて、うれしいです! ありがとうございます!」 満面な笑みでお礼を言ってくれた。 素直にそう言ってくれるのはとても嬉しく、作った甲斐があったと思える。 口の周りがケーキで少し汚れているところも可愛らしい。 「あっ、たーちゃん、くちのまわりがくまさんになってるよ!」 「えっ」 「てぃっしゅでふいてあげる」とテーブル上に置いてあるティッシュに手を伸ばしている最中、姫宮はどうなっているのかと覗こうとした時、大河が手で拭いてしまっていた。 「大河、そんなことしたら今度は手が汚れちゃうよ」 伶介からでは届かなかったティッシュをどうにか引き寄せ、まずは口元と顔を向かせようとしたが、拒まれてしまった。

ともだちにシェアしよう!