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"カッコつけたい"という大河がケーキを食べる気がなくなったことを機に、大河にプレゼントをあげることとなった。
やはり最初は姫宮がいいのではという意見があったが、母親以外だとどうでもよく思われそうで、せっかく皆がそれぞれ用意してくれたのに可哀想だと、そして自分が最初というのも気が引けるということで、最後辺りにしてもらった。
「まずは私から⋯⋯とはいえ、ことの成り行きであげてしまいましたけど⋯⋯」
先ほどの自身の行動に恥じてなのか、照れ笑いのような顔を浮かべ、テーブルに放置されていたプレゼントを再度渡した。
受け取ってくれたものの、すぐにまたテーブルに置いてしまった。
「あーあ、物で釣ろうとしたから」
「因果応報ですね」
「せめて! せめて中を見てください⋯⋯っ!」
必死に言ってくる安野が不憫でならなかった。
「安野さんがせっかく大河のために選んだのだから、そうやっちゃダメだよ」と窘めて、代わりに開けた。
四角い箱に透明なフィルムで中身が見え、その中身であるハニワと目が合ったように見えた。
カトラリーセットらしいそれに、中身がハニワだったことに気づいた大河はすぐに食いついた。
「使ってらっしゃる食器類をそろそろ替えた方がいいと思いまして。喜んで頂けたようで何よりです」
そういう安野も顔を綻ばせていた。
結果的に大河が喜んでいるような様子だったから、安堵のようなものもあるかもしれない。
「ありがとうございます、安野さん」
「いえいえ、選んだ甲斐がありました」
さっきよりも笑みを深めて言った。
次の今井は、ハニワが前に大きくプリントされた長袖と膝辺りにハニワが縫われている長ズボンの上下セットものだった。
「私も食器類が気になっていたのですが、こちらのがちょうどあって良かったです」
誕生日おめでとうございますという言葉と共にその洋服を大河に差し出した。
すると今度はそれに興味を示したようで、手に取った途端嬉しそうに身体を揺らしていた。
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