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それは子ども用室内すべり台だった。 そういえばこのような遊具がなかったと今さらながらに気づく。 「こんな大きな物を⋯⋯」 「おもちゃとかおえかきするのが好きみたいですけど、一個でもこういうのがあってもいいかなと思いまして。ちょうどここにハニワがいますし」 そう言いながら、箱に印刷された写真を指差した。 モデルであろう男の子が階段を上ってすぐにしゃがんだその左右に、確かにハニワがいた。 それにしてもすべり台にもハニワがいるだなんて。 大河達が好きだというあのアニメの大きな影響なのだろうか。 大河はそのすべり台に興味津々なようで、箱にくっついて離れようともしない。 大河と一緒に住んでから医者に行くぐらいしか外に行かなく、その時も車移動であるため、公園に行かせたことがなかった。 もしかしたら、姫宮達と暮らす前の生活でもすべり台を見る機会がなかった可能性もある。 状況が状況なため安易に外に行かせることが出来なかったが、今回はいい機会かもしれない。 「大河、これで遊んでみたい?」 顔を覗き込むようにして尋ねると、大河はうんっと大きく頷いた。 「では、私達が組み立てておきますので、上山、江藤、後はよろしくお願いします」 「「はい」」 まず最初に組み立てないといけないのか。 安野と今井、それから松下が「微力ながら私も手伝いましょうか」と言って、おもちゃ置き場辺りに向かう三人に「お願いします」と遅れながらも頼む形にした。 「さて、次はこの私上山から大河様に贈り物を贈らせていただきます」 かしこまった口調でラッピングされた物を渡した。 途中までしか見られなかったが、それでもちゃんとしたものだった。 素直に受け取った大河はリボンを急いで解き、中身を取り出した。 やはり、完成された物も綺麗なものだった。 初めてやったとは思えない江藤のと並べても大差ない出来具合に、すごいと改めて思った。 そして、自分が作った物を渡す気が無くなってしまったのも。

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