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「たーちゃん。たーちゃんのだいすきなままからのぷれぜんとだよ。なかみみてみないの?」 「⋯⋯」 姫宮の心を代弁するように伶介がそう言った途端、抱えて俯いてしまった。 伶介と顔を見合わせる。 もらって嫌とは思ってなさそうではあるが、何に対して迷っているのだろうか。 「開けるのが惜しいと思っているのか?」 今までのやり取りを静観していた御月堂が不意にそんな言葉を投げかける。 開けるのが惜しい? 「そうなの? 大河」 御月堂の言っている意味が分からない。その疑問の声音がそのまま大河に問いかける形となった。 すると、大河はややあって頷いた。 「やはり、そうか⋯⋯」 そう呟いた後、御月堂は腕を組んで何やら考え込んでいた。 そんな彼を横目で見、それから俯いたままの大河を見た。 「大河、そのぐらい嬉しい⋯⋯ってことなのかな。ママとしても嬉しいけど、中も見てくれたらもっと嬉しい、かなって⋯⋯」 あまり大したものではないけど、という言葉が出かかったが余計な一言だと呑み込んだ。 こうなってくると今でなくてもいいと思えてきた。 大河の好きなタイミングで見てもらえたら。 その旨を伝えようとした時、御月堂が言った。 「開けるのが惜しいと思うのなら、今開けなくてもいいと私は思う。⋯⋯とはいえ、愛賀は今そうして欲しいという話だったな」 「あ、いえ⋯⋯私もそう言おうとしたので、まさか慶様もそう仰られるとは思わなくて驚きました」 「⋯⋯そう、だったのか」 御月堂が驚きで僅かに目を見開いているようだった。 姫宮も言葉通りに驚きもしたが、同じことを思っていたことに少なからず嬉しいと思っていた。 「大河がそれで納得したのなら、今はすべり台の方へ行ってやってくれ。とうにできて待ち望まれているぞ」 「あの、慶様。慶様も大河に持ってきてくださったのですよね。それはどうされるのですか?」 「あの調子だと私からのは、とうにもらう気はないだろう。だから、ここに置いておくからこれも好きな時に開けてみてくれ」 「はい⋯⋯。大河の代わりにお礼を申し上げます。ありがとうございます」

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