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お勉強会④
寮に戻ると、都城が夕飯を作りながら待ってくれていた。ふわりと味噌汁の香りが漂ってきてお腹が減ってくる。
「蓮斗、俺になんか言うことないのか?」
着替えるために部屋に入ろうとしたら、都城に呼び止められて動きを止める。そのままなかったことにできないだろうかと考えていた蓮斗は、都城の一言に肩を落とした。
「……いじめのこと隠してたのは悪かったと思うよ。でも、都城に迷惑をかけたくなかったから。それに、いじめられっ子と同室なんて嫌だろ?」
「隠し事される方が嫌なんだけど」
出来上がった料理を卓に並べながら、都城はため息をこぼした。怒っているような、呆れているような口調だ。気まずさを覚えて視線を彷徨わせていると、都城がおもむろに蓮斗のおでこにデコピンをしてきた。
「っ〜」
「これで隠してたことはチャラな。今後はなにかあったら相談しろよ。友達だろ」
「……うん、ありがとう」
蓮斗は視界を潤ませながら、何度も頷く。友達って言ってもらえたことがすごく嬉しかった。いじめのことを知ったら離れていくかもしれないって、すごく不安だったけれど、都城の言葉は蓮斗の心を優しい言葉で包み込んでくれた。彼と同室でよかったと蓮斗は心底思う。
「ご飯食べ終わったら、また勉強教えてよね」
「わかったよ」
ニヒッと歯を見せて蓮斗が笑う。都城も応えるように微笑みを向けてくれた。
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