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第24話

 気を良くした手は乳首を撫でる力を少しずつ強めていく。少しでも眉を寄せたら力を弱めて、蕩けるようなキスをしてくれる。  「ここ硬くなってる」  「やっ、あぁ、あっ」  「気持ちいいのか?」  「そんなこと訊くな莫迦」  見てわかるだろと泣きたくなった。こんな感覚知らない。快楽だけ与えられるのでなく心まで抱かれているような愛撫に思考が溶かしたバターのように指の間をすり抜けていく。  シャツをまくられ、ウォルフは突起を口に含んだ。舌を尖らせてやさしく輪郭をなぞられるだけでぞくぞくしたものが背筋を駆けのぼる。  堪えきれずにウォルフの頭を抱くとびっしょりと汗をかいていた。頭皮から雄の匂いが立ち込めてきて、奥がきゅっと締まる。  「それじゃ舐めにくい」  「いいからっ……もう早く」  早く中に挿れて欲しい。  そう懇願したいのに嬌声しかあげられず、与えられる快楽に涙を流しながら酔いしれた。  ウォルフは時折深く息を吐き、どうにか理性を保ちながら行為を進めてくれる。  だからつい甘えてしまい、もっとキスしたい、胸を舐めて欲しい、性器を扱いて欲しいと要求すると惜しげもなく全部応えてくれた。  ぐずぐずに溶かされるような愛撫を受け、空っぽの心が満たされていく。いまなら風船みたいに膨らんで遠くまで飛んでいけそうだ。  脚の間に顔を埋めたウォルフは躊躇わず性器を口に含んだ。そして濡れた蕾に指を挿れてくる。  ぐるりとなかを探るだけの刺激なのに指をすっぽりと飲み込む。気遣いながら、でもゆっくりと奥を広げられる。  「あっ、ンぁ」  「苦しい?」  「……早く」  足でウォルフの性器を触れると硬くなっていた。  ウォルフは太い眉を跳ねさせてまた「くそっ」と吐き捨てた呼気が火傷してしなくらい熱い。    「お願い……まだ?」  泣きながら懇願するとウォルフの目の色が変わった。ズボンと下着を一気に脱がされ、ウォルフの性器をあてがわれた。  「痛かったら辞めるから」  「いいから……」  袖を掴むとウォルフは腰を進め、亀頭が挿入る。みちみちと蕾を広げて、一瞬身体が怯む。  痛みを覚えさせた身体が強張る。  セックスは痛いものだと覚えている身体は次に来る痛みに備えてぎゅっと瞼を閉じた。  「ラビ」  頬を撫でられて目を開けると額に大粒の汗を浮かばせたウォルフが切なげに顔を歪めている。  「痛いか?」  「ちが……平気だから」  「無理しなくていい」  抜こうとするウォルフの腰を両足で挟んだ。  痛くない。ウォルフはやさしくしてくれる。こんなにも欲しくて堪らないと身体は訴えているのに心がセックスに怯えてしまっていた。  ぐずぐずと泣き続けても嫌な顔一つせず、ウォルフはキスの雨を降らせてくれる。  あやすように涙を舐め取ってくれ、少しずつ強張った身体の力が抜けてきた。  「こんな直前でおあずけ食らわされているのに無理やりしないんだな」  「ラビの嫌がることはしたくない」  「どうしてそこまで?」  理解ができない。肉食動物は獰猛で我が儘で自分勝手。現にレイプしてきた虎はまさにその三点がキレイに揃っていた。

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