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第25話

 「好きだからだよ」  「好きとセックスは一緒?」  「愛を伝えるための行為だから一緒といえばそうだろうな」  「……セックスは自己顕示欲を満たすためだろ?」  そんな客ばかり相手してきた。誰もラビを愛そうとはせず、愛撫されたり、ましてやキスなんてされたこともなかった。  首を傾げるとウォルフは苦笑いをして、汗で貼りついた前髪をかきあげてくれた。  「誰になにを言われたか大体想像つくが、そんなのはセックスとは呼ばない」  「じゃあ俺がやってきたのはなんだったんだ? 無理やり突っ込まれて、引っかかれて首を締められて鞭で打たれて……」  どんどん溢れてくる口を押さえた。なにを言っているんだ。恐る恐る見上げるとウォルフの表情がなくなっている。  「もっと早くラビと出会っていたらよかった」  ぎゅっと抱き締められたら押されるようにまた涙が出てきた。ウォルフと早く出会っていたらこんな悲惨なことにならなかったかもしれない。  そんなたらればを考えても現実を変えられるわけないのに願わずにはいられなかった。  涙が出る分だけ恐怖が薄らいでいく。ウォルフだから平気。ウォルフだから怖くない。  背中に腕を回して引き寄せた。  「きて……もう大丈夫」  「痛かったら言えよ」  ウォルフは再び腰を進め、一番太い部分を飲み込むと内蔵を押されそうな圧迫感に息を飲んだ。  身体に比例するように性器も大きく、ラビの小さな身体では全部を受け止めるのはそう簡単ではない。  「はぁ……待って。苦しい」  「ラビのタイミングでいい」  ウォルフは律動しようとはせず、キスをしたり乳首を摘まんだりと愛撫を始め、萎えてしまった屹立を上下に扱かれる。  「あっ、あぁ、んん」  快楽を与えられると身体の力が抜け、ウォルフが腰を進める。  弱いところを押し上げられ、そこから全神経に快楽の波が押し寄せてきた。  「やば……なにこれ」  「痛いか?」  「ちがっ、わけわかんない」  腹のなかがウォルフでいっぱいだ。内蔵が押し上げられて苦しいはずなのに気持ちよさもあって頭が可笑しくなる。    「辛いか?」  額に脂汗を浮かばせたウォルフは白い八重歯を覗かせた。言葉と顔の表情が合っていなさすぎる。  思うがまま抱きたいはずなのに理性で押さえ込んでいるのだろう。  好き、と言っていた。  こんな泥水にまみれた薄汚い自分をウォルフのような誠実な男が好きになる要素が全然思い浮かばない。  けれどそのたった二文字が心の空洞を埋めてくれ、ウォルフが注いでくれる愛情を全身で受け止めた。  「気持ちいい」  ウォルフは目尻を下げるとまた愛撫を始め、合わせるように腰を揺らす。  「あっ、あぁ、んあ」  「中、すごい熱いな」  「……あっ!」  これが愛を伝える行為なのだと身を持って教え込まれる。  「ラビ」  名前を呼ばれて顔を上げるとキスをされた。  舌を差し出すと絡ませてきて、これ以上ないくらい甘く蕩けていく。

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