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第11話

※黒岩目線 「黒瀬、起きてるか?」と声をかけたが、彼からは寝息が返ってきた。 彼が深い眠りに落ちていることを確認しながら、俺は彼の体を洗い続けた。 ボディタオルが彼の乳首に触れた瞬間、「んっ」という微かな吐息が漏れた。 思わず心が揺れる。 その声が、こんなにも可愛らしく思えるとは、自分でも驚きだった。 男の体を洗うことに、何の抵抗も感じない自分に驚きを覚えたが、同時にその自然さが心地よかった。 風呂を終えて彼を見下ろすと、俺の方がびしょ濡れになっていた。 彼の体をタオルで拭き、ドライヤーをかけたが、彼はまったく目を覚まさない。 仕方なく、ソファに寝かせた後、自分も着替えを済ませた。 彼を抱えて2階へ運ぶことにしたが、猫たちが足にまとわりついてくる。 俺が彼を自室に運ぼうとすると、猫たちが邪魔をして思うように進めない。 結局、手前の自分の部屋に彼を運び込むことにした。 ベッドに彼を下ろそうとした瞬間、彼の体が俺を引き寄せ押し倒した。 「痛っ…」と声を漏らすが、彼が猫のようにすり寄ってくる。 その姿がなんとも愛おしく感じられ、思わず笑みがこぼれる。 まさか、大の男を「可愛い」と思う日が来るとは、想像もしなかった。 彼の重みが心地よく、気がつくと眠っていた。 夜中、視線を感じて目を開けると、彼と目が合った。 「どうした?水が飲みたいのか?」と尋ねると、彼は小さく「…飲む」と呟いた。 「わかった、待ってて」 そう言って頭を撫でると、彼の瞳が安心したように閉じられた。 水を持って戻ると、彼は目を閉じたまま。 俺は「起きれるか?」と声をかけたが、彼は微かに頷くだけで、起き上がる気配はない。 「…飲ませてあげようか?」と囁くと、彼の目が開き、俺を見つめた。 彼の唇が微かに動くのを見て、俺は口移しで水を飲ませる。 彼が「ん…」と再び微かな声を漏らした。 何度か水を口移しで運ぶと、彼は満足したのか、再び眠りに落ちた。 彼の水で濡れた唇を指で拭うと、胸の奥から愛おしさが込み上げてくる。 思わずキスしそうになるが、タイミング悪く猫の鳴き声が耳に届き、我に返った。俺は、いったい何をしているんだ――。 そう思うと同時に、深いため息が自然と漏れた。

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