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第18話
※黒岩目線
サウナから出た俺たちは、吉田と合流してサウナ飯を食べることになった。
サウナで熱くなった体に、冷たいハイボールが心地よく染み渡る。
「一番人気はカレーだけど、俺のおすすめは唐揚げ。この濃い味とハイボールの組み合わせがたまらん」
テーブルの上にはすでに空になったグラスが二つ並んでいた。
黒瀬はチキン南蛮、俺は鉄板野菜炒めを注文。
「俺の体のことを気遣ってくれてるのは分かってるんだが、たまには濃い味が無性に食べたくなる。こりゃ仕方ない」
吉田は顔を赤くしながら笑う。
彼の愚痴を聞きながら、俺はちらりと黒瀬を見た。
彼は黙って食事を続けていたが、その目には戸惑いが感じられた。
少しは意識してくれただろうか。
俺は、黒瀬が俺の想いに応えてくれた日に思いを馳せる。
キスのあとベッドに倒れ込んだ時、彼は自分だけのものだという喜びで胸がいっぱいになった。
彼が俺に抱きついてきたとき、このまま奪いたいと思った。
だが、彼が突然「今日、ハンバーグだよな?楽しみ」と言い出した。
「えっと…食べる?」と聞くと、「うん!」と無邪気に答える。
「あとでいいよね?」と尋ねたが、彼は「お腹すいた」と言い放った。
俺は仕方なく「――わかった」とベッドから降りるために背を向けたが、その瞬間、黒瀬が背後から抱きついてきた。
誘っているのかと高揚したが、俺が頭を撫でると、彼はまるで子供のように嬉しそうに笑った。
同居が同棲になって1ヶ月が経ったが、その日以来、黒瀬はよく俺に甘えてくるようになった。
けれど、その甘え方は恋人同士というより、まるで子供が親に甘えるようなものだ。
俺はそんな彼を可愛いと思う反面、俺の「好き」と彼の「好き」は違うのかもしれないという不安が頭をよぎる。
「俺はお前とそういうこともしたいんだよ…それでも好きと言ってくれる?」と、心の中で何度も問いかけたが、言葉にはできなかった。
箸を進めずにぼんやりとしている黒瀬を見つめながら、俺は思った。
困らせてしまったのだろうか?
それとも、怖がらせてしまったのかもしれない、と。
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