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第2話 見つけた

 高校の時からのノンケのツレが、最近やっと彼女ができたと、やたら喜んでる。マッチングアプリで出会ったって。そう、今や世の中はSNSだ。何故かその日は、俺もそのアプリやサイトを使って誰かと上手くいかないかなと思ってしまった。もちろんゲイ専門で。  スマホで検索すると結構色々あるもんだ。有料や無料。それに入会すると面談が必要なもの。会員の年齢層も色々。スワイプしてると、ちょっと変わったのを見つけた。 『シチュエーション・クラブ』 そのサイト名だ。  会員の登録をしたら、あとは自分のプロフィールや相手のタイプも一切不要。ただどんなシチュエーションで出逢いたいかをリクエストするだけ。で、リクエストされたのを見て、気に入ったのがあれば、お気に入りをする。で、後は設定されたシチュエーションで、出逢う。どんな奴が来るのかは、来てからのお楽しみってやつだ。  お互いどんな奴かもわからないから、リクエストした方は場所と服装はサイトを通して相手に詳細に伝えて、やって来る方も予め決められた合言葉を言う。一応マナーとして、どんな相手であっても、最低30分はお話しをすることになっている。その後は、さっさと帰ろうが、三日三晩やりまくろうが、お好きにどうぞって感じ。まぁ、怪しいっていえば、怪しいけど、会員登録数は、他のと比べてもそんな変わらない。なんだかんだいって、皆んなスリリングな出逢いがしたいんだな。ちょっとした暇つぶしにはちょうどいいかもしれない。  俺は既にリクエストされてるシチュエーションを見てみた。『カウンターで一人で飲んでるところに声をかけてほしい』 まぁ王道な出逢いだな。『パドックで馬の見方がわからなくて困っている時にさりげなく声をかけてほしい』『シーシャバーでお勧めのフレーバーを一緒に吸いたい』こういうのは趣味が合っていいかもな。『銭湯で背中を流そうかと声をかけてほしい』…銭湯って、これはいいのか?まぁ最初から裸が見られて、これはこれで即物的でいいんだろう。でも、銭湯の主人は知っているのだろうか、ゲイの出逢いの場所にされていることを。  気に入ったリクエストにお気に入りをしても、ほとんどが順番待ちになっている。リクエストが出たら、気に入ったものは早い者勝ちだ。順番待ちをしてても、必ずしも出逢えるとは限らないようだ。それならば最初からリクエストしてみようと思った。けど、どうしよう…いざ出逢うとしたら、どんなシチュエーションがいいんだ?俺は。  まぁ最初は普通に、普通がなんなのかわからんが…平日の昼過ぎ。大型ショッピングモールのフードコートで俺はハンバーガーを食べる。で、そこに、『ここ座っていいですか?』が合言葉で、二人は出逢う。  うん。これでリクエストしてみよう。さぁ、誰かお気に入りしてくれるかな…。  ちょっと楽しみになってきたぞ。

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