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第15話 会いたい
大きく張り出した太平洋高気圧の影響でしばらくは雨はなさそうですね、って朝のテレビニュースで気象予報士のお姉さんが云ってる。
今朝は快晴だ。昨夜の情事はまるで夢のように思える。
お兄さんはどうしているのだろう。今朝はスッキリとお目覚めなんだろうな。出すもの出して、ちょい変な性欲も満たされたはずだ。お陰様で俺も満たされた。まさか、あんなことをしてくれるなんて思ってもみなかった。金持ちゲイ坊ちゃんの簡単なお遊びと思ってたのに。意地悪だけど、優しかった。たぶん俺のことを本当に可愛いと思ってくれたんだろうな。
いった後に見たお兄さんの顔は優しくて、愛おしいそうに俺を見てた。
あの時の感情が甦る。俺、お兄さんに会いたい。
さっき気象予報士がしばらく晴れと云ってるのを聞いていたのに、俺はスマホの雨雲レーダーで、どこかに雨雲がないか探した。別に晴れの日に会ってもいいのに、俺も変な拘りがある。お兄さんとは雨の日に会いたいんだ。
一週間が過ぎた頃、ようやく雨雲がやってきた。明日は朝から一日中雨でしょう、と夜のニュース番組のお天気コーナーで云っていた。電話してみよう。
ワンコールでお兄さんが出た。嬉しそうな声だった。俺も嬉しい。明日の夜9時にあのコンビニに迎えにきてくれることになった。
その日、俺は9時前にコンビニに到着すると、お兄さんはラフな服装でコンビニの中から出てきた。レジ袋を持っていた。お買い物ですか。
「こんばんわ、お兄さん」
嬉しくて声が弾む俺。
「待ってたよ、レオ君。なかなか連絡くれなかったから、もう嫌われちゃったかなって心配したよ」
「ごめんなさい…でも嬉しい、お兄さんが待っててくれて」
傘を差すお兄さんの腕にしがみつく俺。お兄さんの前だと、僕キャラがすんなりできる。新たな発見だ。
お兄さんも俺の尻を触りたいのを我慢しながら腰に手をやっているのがわかる。手が徐々に下がってマンションのエントランスに着く頃には完全に手は尻の上にあった。
やっぱりこのマンションは人の気配がない。まぁその方が、お兄さんに引っ付くのに気兼ねはないけど。
部屋のドアの鍵を開けて、玄関に入ったとたん予想はしていたけど、お兄さんは俺の顎を掴んでキスというより、唇にかぶりついてきた。レジ袋が擦れてカサカサ音がする。本当にお兄さんは俺を待ってくれていたみたいだ。
ようやくお兄さんの唇から解放された俺は、よせばいいのに、今度は俺からお兄さんの首に手を回して少し背伸びをして、僕からも、なんて言って頬にキスをした。今日もお兄さんはいい匂いだ。
お兄さんは俺を抱き上げた。ベッドルームに直行かと思ったら、連れて行かれたところは大きなジャグジーがあるバスルームだった。
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