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第16話 ジャグジーにて

 ガラスの壁の向こうに白くて大きなジャグジーがあった。お兄さんは俺を静かに下ろした。 「今晩はここで、いいことしようね」  と俺を抱きしめながら言った。レパートリーがたくさんお有りのようで。 「レオ君、先入っててよ」  お兄さんはそう言って 俺を一人バスルームに残した。何をしに行ったのやら…。  俺はキョロキョロしてしまった。ジャグジーのあるバスルームの横にはシャワールームもある。天井に大きな円盤みたいなシャワーヘッドがあった。テレビで見たことはあるけど名前は知らない。  お兄さんが戻ってきた。裸にバスローブ。当然前ははだけて、モロ見え。手には二つの細長い脚付きのグラスと氷が入った銀のバケツにはワインかシャンパンのような瓶が見える。 「あれ、まだ脱いでないの」  やばい…この間の二の舞になる。お兄さんすぐに機嫌損ねて拗ねるんだから。 「ごめんなさい、お兄さん…だって、この間は僕自分で脱いじゃったから、今日はお兄さんに脱がせてほしいな…なんて思って。だめかな?」  お兄さんはやっぱりスケベだ。すぐにニヤニヤ顔になった。心の中でしょうがないなぁ、とでも思ってるんだろう。グラスとバケツを壁の棚に置いて、俺のシャツのボタンに手をかけた。  「レオ君は甘え上手だな…」  シャツのボタンを外して脱がせると、早速、乳首を弄り始めた。 「あん…」 「レオ君の声…いいね」  お兄さんは次にズボンに手をかけた。俺は今日もノーパンだ。お兄さんはどんな反応をするだろう。 「レオ君…大胆なとこあるんだ。いつも履かないの?それとも今日は特別?」  夏場はいつものことなんだけど、今日は特別のことにしておこう。 「えへっ…今日は特別だよ」  うへっ、よく言えたもんだ。  お兄さんは、俺を素っ裸にすると、俺の後ろに手をまわして尻を揉み始めた。好きだなぁ…  そして俺はお兄さんに尻を向けてバスタブの縁に両手をかけた。お兄さんは、しゃがんだ。舐めて、噛んで、吸って、久しぶりの尻を楽しんでいるようだ。その感触に俺もいつの間にか勃っているんだから、お兄さんはお上手だ。 「レオ君…気持ちいいの?勃っちゃってる」 「もう…お兄さん」  お兄さんは俺を自分の方に向けて、バスタブの縁に乗せた。 「レオ君から、いいことしてあげるよ」  お兄さんはそう言うと俺のを咥えた。 あぁ…お兄さんはやらしくて優しい人だ。 「うっ…ううん…いい…お兄さん、気持ちいい」  お兄さんの舌の動きは、なんだか舌がそれ単体の生き物のような感じがする。エイリアンか。  細いバスタブの縁に尻を軽く乗せているだけの不安定な姿勢の俺は、お兄さんの舌攻めに体幹がぐらつき始める。仰け反るとそのままバスタブにはまることはわかっているから、感じながらも後ろに倒れないように踏ん張っていた。でもお兄さんの舌はやらしい。俺が感じる箇所がわかるのか、そこばっかり攻め立てる。あぁ、もういいきそう…でもまだお兄さんは頬張っている。俺の顎が上がる。後ろに仰け反る。 「お兄さん…僕…もう…い…く」  スローモーションのように、俺は仰け反った瞬間、バスタブの縁を持っていた手が離れ、何も掴むところがなく空を切る。俺のペニスはあろうことかお兄さんの口から出た途端に射出した。華麗なる空中散布だ。そのまま俺は後ろ向けにバスタブの中に沈んでいった。  気泡混じりの水流の中、すぐにお兄さんのバスローブの腕が俺の上半身を引き上げ、バスタブの中で座らせてくれた。 「レオ君、大丈夫?」  お兄さんもバスローブを脱いで、バスタブの中に入ってきた。俺の顔を両手で挟み込んだ。優しい顔をしているけど、口元が歪んでいる。笑い出しそうだ。俺は鼻の奥がツーンと痛かった。小学生以来の痛みだ。お兄さんは俺を抱きしめた。おそらく笑い顔を見られないようにだ。だって、肩が揺れている。

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