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第17話 恥ずかしい

 俺はまだ鼻の奥が痛かった。涙目になっていた。お兄さんはそんな俺の頭を撫でてくれるけど、目は笑っている。どんなに滑稽な姿だったんだろう。俺はまだ笑えない。 「レオ君…君は本当に意表を突くようなことをしてくれる…可愛すぎるよ」  空中で精子を撒くのが可愛いっていうのかよ。恥ずかしいんだぞ、俺は。  お兄さんはバスタブから出ると棚に置いていたグラスに何かを注いで、またバスタブに戻った。お兄さんは、笑顔になれない俺に向かって 「ほら、こっちにおいで。再会の乾杯をしよう」  お兄さんさんからグラスを受け取って乾杯した。グラスの中にはシャンパンと細く切られた桃が入っていた。桃好きなお兄さんのおしゃれな演出だ。冷えたシャンパンは美味しい。そろそろ可愛い僕に戻らないと。 「お兄さん…もう、笑わないでよ、恥ずかしいんだから…でもすぐに助けてくれてありがとう。僕びっくりしちゃった」 「もう、笑わない…かな」 「ひどい…もう、笑ってる」  お兄さんはそう言ってグラスを一気に空けると、グラスの中の桃の端を咥えて、俺に向けた。  サラリーマンがホステスさんと細長いお菓子でこんなふうに遊んでいるのを、何かで見たことがある。  お兄さんは何歳なんだよ。まぁ、俺もこういうのは嫌いじゃないし、お兄さんのお遊びにのってあげようかな。最初は焦らして少しずつ桃をかじっていたけど、やっぱりお兄さんと早くキスがしたくなって、一気に口に入れた。桃とお兄さんの舌が一緒になって俺の口の中に入ってきた。溶け合って桃と舌がどうなっているのかわからない。お兄さんのキス…好きだ。  そして、俺は初めてお湯の中で挿れられた。浮力もあるし、ジャグジーの水流も受けながら、お兄さんはこの間と同じようなゆっくりとしたリズムで動かした。俺はバスタブの縁につかまって、お兄さんを感じていた。お兄さんは俺の肩にキスをしながらいったようだった。静かだ。  バスタブから出ると、お兄さんはバスローブを着せてくれた。そして、ドライヤーで髪も乾かしてくれた。お風呂場でのいいことが終わった。

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