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第18話 お兄さんのしてみたいこと
お兄さんに髪を乾かしてもらった後は、俺はまた裸になってベッドの上にいる。
「俺さ、一度してみたいことがあるんだけど…レオ君、付き合ってくれない」
お兄さんは俺の顔を覗き込むようにして言った。
「何をしてみたいの?ねぇなぁに?」
可愛い僕は甘えるように言った。
「ベッドの上でさ、カップ麺食べてみたいんだよ」
「何だよ、それ…」
あっ…ヤベ。あまりのバカバカしさについ素が出てしまった。そうか、待ち合わせのコンビニでこれを買ってたんだな。
お兄さんは俺の顔を見ると含み笑いをしながらキッチンへ行ってしまった。あぁ…今の顔、完全に可愛い子振ってたのバレてんな。でも、してみたいことがベッドの上でのカップ麺って、やっぱ坊ちゃんはそんなお行儀の悪いことはなさらないんだ。俺なんか何百回もしてんのに。
お兄さんがキッチンから戻ってきた。手には二つのカップ麺と湯沸かしポットがあった。サイドテーブルに置くと、ベッドのヘッドボードのコンセントにポットを繋いだ。
「俺ね、仕事上、これまでたくさんの人たちと関わってきたからさ、その人がどういう人かって、結構見る目はあるんだよ…レオ君はさ、僕っていうより、普段は俺っていう人なんだろ?」
当たりでぇす。
「初めて会った時、レオ君が僕って言ったから、少し違和感があったけど、でも君はとっても可愛くて俺好みだったからそんなのどうでもいいと思ったけどね」
白状しよう。
「俺、コンビニでお兄さんに声をかけられた時、最初人違いと思ったんだ。お兄さんがあまりにも素敵過ぎてさ、まさかこんな人が今晩の相手だとは思いもよらなかったっていうか、一目惚れしたんだよ。お兄さんに」
湯沸かしポットがカチッと音をたてた。湯が沸いたんだ。
「なんかその時に、お兄さんは俺っていうより、僕っていう人の方が好みなんじゃないかなって思ってさ、つい僕キャラになってたんだよ」
「そうなんだ…僕って言うレオ君も可愛いけど、こんなにも肌が合うんだから、僕でも俺でもどちらでもいいよ」
そう。お兄さんの言う通り、本当に肌が合うっていうのはこういうことだと思った。
「でも、素のレオ君…もうレオでいいよね。本当のレオを抱いてみたいよ」
ストレートだな。
「そんなに変わらないよ。お兄さんさんの手にかかったら、俺は丸裸だ」
お兄さんはカップ麺に湯を注いだ後、俺を引き寄せた。いきなり俺の乳首を摘んでくる。
「ねぇ、俺のレオも乳首を感じるの?あれは僕だったから?」
「あぁん…もう。俺が感じてるんだよ。あの時、焦らされて泣いたのも俺。でも裸で正座したのは僕かな」
お兄さんは乳首から指を離すと、少し迷った顔をして俺の顎を掴んだ。
「お湯入れちゃったけど、少しだけ…」
ラーメン前のディープキス。悪くはないけど、食欲をそそる匂いがしてる。お兄さんも気になるみたい。
キスは早々に切り上げて、笑いながらカップ麺と割り箸を渡してくれた。男二人が真っ裸で肩寄せ合ってベッドの上でカップ麺を啜るなんて、シュールだ。
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