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第6話
肌を這う冷たい手にビクッと反応する。
昔一緒に風呂に入った時しか裸は見せなかったから何だか恥ずかしくて統乃を見ないように目を瞑る。
統乃に顎を掴まれて上を向かされる。
「…見ろよ、誰に抱かれるのか…ちゃんと見とけ」
「…と…の?」
なぞるように上から舐められてくすぐったかった。
身をよじるが縛られているからあまり動けない。
乳首を抓られ引っ張られるとピリッと痛みが走った。
統乃は彼女にもこんな乱暴な事してるのか?
「とう…のっ、痛いっ」
「あー、そりゃあ悪かったね」
棒読みの統乃は手を離したと思ったら乳首を撫でるように舌で転がし愛撫する。
下半身が甘く痺れて、両足を震わせた。
なんか統乃だけじゃなく、自分も知らない人間になるようで怖かった。
「統乃っ、それもやだっ…やめて」
「わがままだなぁ…じゃあ何がいいの?」
何って…決まってる、こんな事やめてほしい。
いくら男でもこれは浮気になるだろう。
統乃の彼女に悪いし…俺は統乃の彼女じゃない。
これ以上したら…気付きたくなかった事に気付かされる。
「統乃、俺は統乃の彼女じゃない…今は元だけど…俺は統乃を大切な弟だと思ってる…だからこんな事…」
やめてくれ…統乃に静かにそう言った。
統乃は目を見開きこちらを見ている。
そして俯いた。
今ならまだ笑って許すから、統乃…
統乃が顔を上げて、後悔した。
「もういい、もういいよ…はいはい弟ね、で?だからなに?彼女の代わり?は?お前が彼女の代わりになれてたとか思ってたわけ?ありえねぇよ…お前なんて大っ嫌いだ」
統乃はとても怒ってた?理由は分からないが、早口でなにか言ってる。
首に触れられ、そのまま力を込められた。
苦しくて苦しくて、心が悲鳴を上げた。
「…じゃあ弟に無理矢理抱かれて快楽に溺れる兄を見せてやるよ」
…統乃はもう、戻れないところまで堕ちていった。
そして…俺も…
「あっ、んっ、くぁっ」
「はっ、弟に抱かれて声出してんじゃねーよ」
女性ものの下着を下ろされ、冷たいローションで滑りを良くした場所に指を入れられ広げるためだけの動きに異物の不快感とは別の変な気分になっていた。
統乃に言われ、恥ずかしくなり唇を噛み耐えた。
指が三本入れられぐちゃぐちゃ音を響かせられて目を瞑る。
統乃が俺の顔の横の枕を殴りつけて驚いて目を見開く。
「…よそ見なんて許さない」
恨み言のように呟き、指が抜かれ足を開かされた。
もう何を言っても俺の声は統乃に届かないと感じた。
統乃は自分のズボンの前をくつろげた。
「統乃、待って…」
「………」
統乃は何も言わず、俺の中に埋める。
痛くてぽろぽろと涙を流す。
念入りに広げられたから血は出ていないが、指とは明らかに違う太さで腹が苦しい。
俺を気遣うわけはなく、統乃は腰を動かした。
最初はただ苦しかっただけだが、だんだんゾクゾクと体が変わっていき…俺のが勃起していた。
…え?なんで?
戸惑う暇も与えず激しく奥まで突かれた。
「ふっ、ん、んっ」
「はぁ…どう?まだ兄貴気分なわけ?」
声を出さないので精一杯で統乃が何を言ってるか分からない。
ただ、そろそろ限界で足のつま先を伸ばした。
統乃も分かったのか動きを早める。
「弟に犯されてイキそうなの?」
ギュッと俺のを握り意地悪く微笑む。
ギリギリと痛くて、苦しくて両手をを暴れさせる。
縛られてるからギシギシ音を立てるだけで、効果はない。
「…う、なんで…こんな…」
「イかせて下さいって言ってよ、言えるよね」
握ったまま亀頭を刺激され、トロトロと溢れる。
もう頭が真っ白になるほどに限界だった。
ずっと塞いでいた口を開く。
「イ…かせて、くださっ…」
それからは覚えてない。
強い快楽の波が押し寄せてきて、何も考えられないまま喘ぎ…果てた。
最後に唇に柔らかい感触を感じたのは…気のせいだったのだろうか。
…今の俺には、分からない。
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