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第6話①

 ヴィラのVIP専用コテージはそれぞれ、小高い丘の斜面に建てられている。  完璧にプライベートが保たれていることもあって、海に面した部屋は特に、開放感を意識した造りになっているものが多い。  細かな後始末を秘書官に任せたヴィルフリートに伴われて、琉斗(りゅうと)は彼のコテージに戻った。海水で汚れた身体を洗い流すという名目もある為、ひとまずはバスルームに直行する。 「……ん、ッ……」  海側の壁面は総ガラス張りの浴室内で、勝手知ったるとばかりにシャワーのコックを捻った琉斗は、強引に引き寄せられ、唇を塞がれた。口腔内を這い回るヴィルフリートの舌遣いに、もはや経験不足の面影はない。互いの身体をまさぐり合いながら、ふたりは強く舌を絡ませ、口付けを深めていく。  愛撫の邪魔になると感じたのか、ヴィルフリートは片手を伸ばしてシャワーを止めた。そのまま琉斗の肌に唇を滑らせ、胸の飾りを口に含む。更には戻した手が下半身に伸びて来て、琉斗は切ない吐息を漏らした。 「あぁ……はぁ……っ」  上下からの刺激を受けて、琉斗の分身はヴィルフリートの(てのひら)の中で、既に半分以上勃ち上がっている。快楽に翻弄されながらも、琉斗はヴィルフリートの昂ぶりに気付いて、当然のように指を絡めた。ピクリと反応を示した見事な陰茎は、ドクドクと脈打っている。  堪らなくなってきて、琉斗は激しく上下に扱いた。昨夜もソレを(しかも幾分乱暴な形で)受け入れたばかりだというのに、身体の奥が疼くような感覚が湧き上がって来る。先走りを滲ませ始めた雄々しいペニスに手淫を施しながら、琉斗もまたひどく興奮していた。  頃合いを見計らったかのように、ヴィルフリートが床に片膝を着く。不満を感じる間もなく、淫らな粘液を溢れさせる分身を熱い口中に含まれて、琉斗は一際高く声を上げた。 「ああ……ッ!」  先端を強く吸われたり、括れの部分を舌の先で重点的に刺激されたり。もう自分相手にをする必要はないはずなのに、と思いながらも、愛しい男から与えられる快楽に、琉斗は悶えるしかない。 「んっ、ああ……っ、はぁ、……ッ……ン」  先走りとヴィルフリートの唾液とが秘部に伝い、一層切なさが募ってくる。臀部を割り開くように揉みしだかれたところで、堪えきれずに琉斗は身を捩った。  ヴィルフリートに背を向け、窓ガラスに凭れ掛かる。自ら双丘に手を掛け、秘所を晒すように突き出して見せた。 「ヴィル……、早くココに、お前の、が、欲しい……っ」 「!」  卑猥に濡れ、ヒクつくアナルに、ヴィルフリートが息を呑む。はしたないとの小言が返されるかとも思ったが、(当然ながら)萎える様子もない。  琉斗の可愛らしい「おねだり」に、ヴィルフリートはわずかに眉をひそめて、熱く囁いた。 「ああ、私もだ……早く君の中に、入れたくてたまらない……!」 「あ、ヴィル……、アアアア……ッッ!」  求められる悦びに胸を震わせる間もなく、そのままヴィルフリートは琉斗の身体を掬い上げるようにして、一気に分け()って来た。待ち侘びた熱に背後から勢いよく貫かれて、蕩けた琉斗はそれだけで射精してしまう。 「――ッ!」  先端から迸り出た精液が、磨き上げられたガラスに飛び散った。目の前に広がるのは空と海、生い茂る南国の樹木だけだ。しかし、誰が見ていなくても、自身の生み出した淫らな絵図に、琉斗は思わず頬を赤らめる。  けれど、息をつく暇もなく、ヴィルフリートが腰を使い始めた。熱い塊が抜き差しされる感覚に、琉斗の身体は否応なく反応してしまう。 「あっ、あっ……待っ、アア、ンッ!」 「待てないと言っただろう……!」  射精中に突き上げられるのは昨夜と同じなのに、今の琉斗の中には歓びしかない。甘い声を上げながら、ヴィルフリートの抽挿と同時に、残滓とも先走りともつかない白濁をビュッ、ビュッと零し続ける。  憑かれたように腰を振りながら、ヴィルフリートが琉斗のペニスに手を掛けた。強く扱かれ、ソコは一気に力を取り戻す。前後から責め立てられ、琉斗は涙を滲ませながら、快感を享受するしかない。 「あッ、両方は……ダメ、だって……ッ、アアッ!」  過ぎる快楽に、口ではそう言いながらも、秘部は正直だった。琉斗のアナルは、咥え込んだヴィルフリートをきゅんきゅんと締め付ける。  優秀な「生徒」であるヴィルフリートに、もはや性技の講義など必要はない。琉斗にとっては、とても悲しいことだ。しかしそれでも、彼が危険を冒して自分を助けに来てくれことは事実。琉斗の心は、幸福感でいっぱいだった。 「は……ぁ、んッ、アッ、あぁ……ッ」  浅く深く、熱くて硬いモノに緩急をつけて内部を擦り上げられ、琉斗はほとんど無意識のまま、自分で乳首を刺激していた。貪欲に快楽を求める様子に、ヴィルフリートのペニスも、琉斗の中で一層硬度を増す。 「ヴィル、俺、もう……っ」 「――ああ。見せてみろ……君のいやらしいペニスが、また恥ずかしい体液を、噴き上げるところを、な……!」 「ッ! ……アアッ、イク……ッ、出る、ぅッ! ――ア、アアア……ッッ!!」 「――ッ!!」  片手で窓ガラスに手を着き、両足を引き攣らせるようにしながら、琉斗は再び爆ぜた。白濁は先程よりも高い位置を汚し、ゆっくりと滴り落ちていく。 「ク……ッ!!」  ほとんど同時にヴィルフリートも、今度は琉斗の中に、勢いよく射精する。  熱い迸りを体内に感じながら、琉斗は幸福感と、ほんの少しの切なさに、何度も胸を喘がせた。

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