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第6話 カミングアウト(2)
笪也は幸祐の頬を慈しむように撫でた。
初めてキスをすることができたばかりか、そのキスを受け入れて寄り添ってくれた。
「…幸祐…俺はお前が…」
好き、の想いは二度目のキスで幸祐の舌に絡めた。
幸祐は顎を上げながら、覆い被さってきた笪也の胸元に手をやって少し戸惑いの仕草をみせた。
笪也はその手を外して、首すじに唇を這わせた。幸祐は顔を横に向けると、小さく息を吐いた。
笪也は、幸祐は今まで誰かと肌を重ねたことがないのかもしれないと思った。
優しく触れてやりたいと思う反面、このパジャマを引きちぎって白い肌を鬱血の痕だらけにしてみたい欲望もあった。
笪也は目を瞑って一旦自分の気持ちを落ち着かせた。そしてもう一度優しく幸祐の唇に触れた。
「…幸祐、俺…今めちゃくちゃ嬉しいよ」
嬉しい、だけに収まる想いではなかったが、それを聞いた幸祐は恥ずかしそうに、コクリと頷いた。
笪也の下半身はドクドクと脈打ち始めていた。幸祐はどうなんだろうと思った。銭湯で見た幸祐のモノが目に浮かんだ。
笪也は、幸祐の頬や首すじ、鎖骨を交互に何度もキスをしながら、腰の辺りを摩り始めた。幸祐が少し身構えたのがわかった。笪也はかまわずその手を下腹部に移すと、優しくそっと包み込むように触れた。パジャマの下のそのふくらみはまだ柔らかいままだったが、ゆっくり摩っていると少し硬くなっていった。その変様が笪也の手の平に確かに伝わった。
「…なぁ、幸祐。抜いてやるよ」
そう言うと、パジャマズボンの中に手を入れた。
「あっ…待って。笪ちゃん」
素早い動作で自分のモノを掴まれた幸祐は慌てて腰を捩ったが、あからさまに拒むことはなかった。
「ほら、硬くなってきたよ、幸祐」
笪也は意地悪をした時にするニヤつく顔をしながら幸祐を見たが、心の中は愛おしさでいっぱいだった。
「もう…笪ちゃん」
幸祐は目を伏せて、笪也の顔が見えない方を向いた。笪也は幸祐の耳元で囁くように言った。
「なぁ、恥ずかしがるなよ…男同士なんだから、やることは一緒だろ…幸祐」
笪也は一旦幸祐のモノから手を離すと、パジャマのズボンと下着を下ろし、パジャマの前ボタンを外して前をはだけさすと、幸祐は裸同然になった。
笪也はもう一度幸祐の下腹部に手をやると、幸祐のモノはさっきよりも大きくそして硬くなっていた。笪也は幸祐の股間の反応が嬉しかった。深いキスをしながら、笪也は指の腹で幸祐のすっかり硬くなった亀頭をゆっくりと摩ると、絡めていた幸祐の舌はビクッと引っ込められた。
「ここ、気持ちいいだろ」
甘い笪也の言葉に幸祐は少しだけ頷いた。
幸祐のモノを握った笪也の手はゆっくりと動き始めた。強く締めるように握る指と少し弛緩させている指を変速的に動かすと、更に熱く硬くなっていく。
笪也は目一杯に怒張した幸祐のモノを手の平で味わっていた。
幸祐は最初は口を噤んで声どころか息遣いも押し殺していた。次第に途切れ途切れに、ハッ…ハッ、とひくつくように息を吸い、そして、ハアァ、と深く吐き出すのを繰り返した。
「幸祐…いいんだよ、声出しても…なぁ、感じてるんだろ?…出せよ、声」
笪也は幸祐の耳元に熱い吐息と共に囁いた。幸祐は固く目をつぶったまま、顎を上げた。
「…笪ちゃん…あぁん…笪ちゃん、いいっ…」
シーツを掴みながら幸祐が最初に出した喘ぎ声が自分の名前だったことに、笪也はこの上もない喜びを感じた。
幸祐をもっと、もっと気持ちよくさせてやり
たいと思った。笪也は、おそらくまだ誰にも触れられていないであろう幸祐の乳首に吸い付いた。柔らかい乳頭は笪也の舌の刺激を受けて弾力のある硬さになっていった。
幸祐は一瞬また体をビクつかせたが、舌先で転がされる快感に身体はすぐに順応しているようだった。
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