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第7話 二人の関係 (4)
心を通わせることができたその週末、笪也は夕飯を食べながら、幸祐に明日、部屋の模様替えをしないか、と持ちかけた。
「寝る場所とさ、服とか置く場所を分けたいなと思うんだけど…それとマットレスも新しくしたいし」
笪也は布団の横並びではなく、一つの布団に幸祐と一緒に寝たかったのだ。何となく気恥ずかしくて、ぼやかして言った。
「いいね。賛成」
幸祐も笑顔で笪也の提案に乗った。
食後の片付けが済むと、二人でネットで寝具を検索した。幸祐は笪也がマットレスを新しくしたい意味がわかった。
「…いいだろ?一緒に寝るの」
笪也は平然と言うと、幸祐は照れながら、へへっ、と笑って頷いた。
ダブルのマットレスはじめ寝具一式は注文した翌々日の日曜日の今日、午前早くに届いた。昨日、一日がかりで模様替えをして、寝室としてレイアウトした場所に届いたものを設えた。部屋の雰囲気はガラリと変わった。
「なんかさ、ここが倉庫だったなんて信じられないね」
真新しいマットレスの上に寝転がった笪也は、感慨深げな幸祐の手を引っ張り、横に寝かせた。お互い口に出さないが、その日の夜のことを想像した。
いつもの休日より早い時間に夕食やシャワーを済ませた。幸祐は作り置きができる惣菜を作ろうと台所に立つと、笪也が後ろから抱きしめてきた。
「幸祐…いつもさ、そうやって色々作ってくれているのは、すっごい助かっているんだけど…今日はさ…」
笪也は幸祐をひょいと抱き上げて、新しく造った寝室へ連れて行った。
「うわっ…笪ちゃん」
幸祐は驚いたが、されるままに笪也に身を任せた。笪也は幸祐をマットレスに寝かすと、覆い被さって幸祐の顔を見凝めた。数日前なら笪也の視線を外すように目を伏せる幸祐だが、今は笪也から目を逸らさずに、ねぇ笪ちゃん、と言って笪也に向かって唇を突き出して、キスをねだった。笪也は手のひらで幸祐の頬に触れながら
「お前は甘え上手だな」
と言って、突き出した幸祐の唇を何度か食んだ。笪也はこのまま幸祐のパジャマを脱がして、この間のように抜いてやるかとも思ったが、今日はいわゆる男の生理対処的なことではなく、愛おしいがゆえの行為として、幸祐に触れたかった。キスでうっとりし始めた幸祐の瞼にも唇を寄せながら笪也は考えていた。
幸祐のパジャマのボタンを外して、滑やかな胸元を唇や手のひらで愛撫をした。しばらくすると、幸祐の乳首は笪也の舌でもっと弄ばれたいかのように硬くなっていた。
突然、幸祐は笪也に背を向けるような動きをした。
「幸祐、どうした?」
「…えっと…あの」
その声には、明らかに焦りと動揺があった。
「…別に、その、なんでもないよ。」
なんでもない訳はないだろうと、笪也は幸祐の肩を掴んで仰向けにした。
「あっ…笪ちゃん…やっやめて」
幸祐は両手で股間を押さえていた。笪也はその手を力尽くで股間から離すと、幸祐の股間は見てはっきりとわかるほど盛り上がっていた。
「お前、何押さえ込もうとしてんだよ」
「だっ、だって…笪ちゃんにキスしてもらったら…その、この間のこと思い出して…そしたら、収まりがつかなくなって…だって、もう恥ずかしいから、手離してよ」
幸祐はしどろもどろで泣きそうな声だった。
「何で、恥ずかしいんだよ」
笪也は心が浮き立つのを感じた。そして幸祐の手を離すと、幸祐のパジャマズボンの腰ゴムに指をかけて一気に引き下ろした。幸祐の股間のモノもズボンと一緒に下げられたが、すぐにまた勢いよく跳ね上がり下腹に引っ付くように勃った。笪也はニヤニヤしながらその様子と幸祐の顔を交互に見た。
「笪也ちゃん…じっと見ないで」
「幸祐、可愛いな、お前」
「もう、やめてよ」
幸祐はもういたたまれなくなった。笪也も違う意味でいたたまれなくなっていた。笪也は幸祐の膝のあたりに跨ると、幸祐の股間を隠そうとしている手をシーツの上に押し付けた。
「なぁ、いつでも抜いてやるよって言っただろ」
「そっ…そんなこと言われたって、言えるわけないよ」
笪也は、それもそうか、と思いながらクスッと笑うと、幸祐の心情と裏腹にこれでもかといきり勃っているモノにゆっくりと顔を近づけた。
「あっ…笪ちゃん、何するの…あん…やめて」
幸祐は頭を起こして、笪也のこれからしようとすることに拒もうとするが、両脚に跨られて、両手を力強く押さえつけられた状態では、身動きがとれずにもうされるがままになった。
笪也は幸祐のモノの先っぽに唇を寄せると、既に笪也の唇との間に糸を引くくらいのものが出ていた。笪也は舌先でゆっくりと丁寧に舐め上げると、幸祐の下腹部はビクッと震えた。
「あっ…あん…あぁ…笪ちゃん」
泣きそうだった幸祐の声は次第に甘い喘ぎ声に変わっていった。
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