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第7話 二人の関係 (5)

 幸祐は今まで当然の如く、自分のモノの先っぽなど誰かに舐められた経験などなかった。  ついこの間、笪也のカミングアウトからのキス、そして抜いてもらったその後は恥ずかしさより、幸せで満ち足りた思いが心の中を占めていた。それからは甘いキスの日々が始まり、まさかその先に、こんなことをしてもらえるなんて想像もしていなかった。  幸祐は息を荒げた。  笪也の舌はまるで生き物のように幸祐のモノに絡みついた。唇で亀頭を食むと、口の中に誘い上顎に密着させて優しい刺激を与えた。幸祐の下半身は蕩けていった。 「…笪ちゃん…俺…ああん…もう」  幸祐の喘ぎ声と、ずり上がろうとする股間と、強く掴まれたシーツで、笪也は幸祐はもうすぐ絶頂を迎えそうだと感じた。そして人差し指でそっと幸祐の未熟な襞に触れてみた。ソコはまだ一本の指でさえも挿れるのは無理な状態だった。幸祐は触れられたことさえ気付いていないようだった。 「ねぇ…笪ちゃん…もう、もうイキそう」  笪也は幸祐の声を無視するかの様に、咥えて離そうとはしなかった。それどころか、更に舌先で亀頭部の一番感じる箇所を攻めた。  幸祐は泣きそうな声を出しながら、手はともかくとしても、まさか口の中には出せないと思っていても、限界がもうそこまできていた。 「笪ちゃん、お願い。もう、だめだから。もう…」  イク、と最後まで言えずに笪也の口の中に出してしまった。 「あぁ…ごっ、ごめんなさい」  幸祐はこの間の射精の時も謝ってたな、と笪也は思った。幸祐のモノを解放すると、手の甲で軽く口元を拭った。 「何で、お前は謝るんだ。俺が好きでしていることなのに」  笪也は語気を強めて言った。 「…だって、そんな」 「…俺は、お前の全てが愛おしいんだ…」  初めて抜いた後の幸せだと言った時と幸祐の顔が違っていた。笪也はまた萎えた幸祐のモノにキスをした。 「なぁ…そんな顔するなよ…俺はお前を困らせてるのか?…幸祐」 「ううん…そうじゃない…そうじゃないんだ」  笪也は幸祐の上体を起こすと背後に座って抱きしめた。そして後ろから幸祐の股間に手を回した。 「笪ちゃん…俺さ、困った顔してた?…俺…どうしたらいいのか、わからなかった。だって笪ちゃんのこと大好きなのに、その…口に出してしまって…でも…あんなことしてもらって…あの…すごい…よかったっていうか…気持ちよくて…その」  笪也は幸祐の股間のしな垂れたモノを触りながら、初めてのフェラがよかったことを恥ずかしそうに、それでも懸命に言うのを聞いていた。 「幸祐、やっぱりお前は本当に可愛い奴だな…なぁ、もっと感じさせてやるよ…もっともっと、よくしてやるよ、幸祐」  笪也はそう言って、幸祐の柔らかい亀頭を指で摩り、もう片方の手で、脱げかかったパジャマの胸元から露わになっている乳首を摘んだ。 「あっ…笪ちゃん…もう、だめだって」 「だめじゃないから…」  幸祐は射精したばかりで敏感になっている亀頭を触れられ、お尻をモゾモゾさせて笪也の手から逃れようとした。笪也はそんな幸祐の様子を気にする素振りも見せずに摩り続けた。幸祐は全く気持ちのいいものでは無いが、笪也に全てが愛おしいと言われたばかりということもあって亀頭への愛撫を我慢して受け続けた。 「うっ…ううん…ねぇ笪ちゃん…どうするの」  幸祐は愛おしいと言われても、これ以上はと思い始めていた。 「あぁ…幸祐、可愛い…大好きだよ…あともう少し」   腰を捩りだした幸祐の耳元に囁いた。  そのうちに幸祐のモゾモゾは更に強くなっていった。笪也の手から逃れたいのでは無く、生理現象が始まっていた。幸祐はこんな時に、と思ったが、尿意は増すばかりだった。 「…ねぇ…笪ちゃん…あっ…あぁ、ねえって」 「わかってるよ…オシッコしたくなったんだろ」  幸祐は、どうして笪也はわかっていたのか不思議に思った。が、それどころではなくなりかけていた。 「笪ちゃん…お願いだから」  懇願する幸祐に笪也はそれでも摩るのを止めなかった。 「もう少し、我慢して」  笪也はそう言うと、乳首を弄っていた手を後ろに伸ばして、手近にあったタオルや自分のTシャツを丸めて幸祐の股間に充てがった。 「幸祐…出していいよ」    優しい声で囁かれても、幸祐にとっては、これはもはや辱め以外の何ものでもなかった。 「あぁ…もう、笪ちゃん…お願い、こんなとこで出せないよ」 「でも今、立ち上がるときっと漏れるよ。階段なんて降りられないよ…だからほら、幸祐」  笪也は耳元でそう言って、幸祐の耳にふっと息を吹きかけた。その瞬間、幸祐は、あぁ、と小さな声を出した。強烈なもよおしに耐え切れずに、笪也が充てがっているタオルの中に出し始めた。 「幸祐…下腹に力を入れて、一気に出してごらん」 「ああああぁ…」  幸祐は今までの人生で信じられないくらい一番気持ちのいい排尿をした。ただ尿を出しただけの感覚ではなかった。  笪也の言う、もっと気持ちよくしてやる、という意味はこれだったのかと、朧気ながら男の快感の奥深さを感じていた。  臍から下の感覚が無くなったように思えた。力が入らず、ぐったりとして笪也に寄りかかった。  笪也はゆっくりと幸祐を寝かすと、尿を吸って重くなったタオルを片付けた。台所に行って冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを取り出すと、ゴクリと一口飲んだ。幸祐にも飲ませようとしたが、幸祐はまだぼんやりとして視点が定まらない様子だった。 「幸祐…」  笪也は胡座を組んだ自分の足の上に幸祐の頭を乗せた。幸祐は少しずつ焦点が定まり、潤んだ目で笪也を見上げた。 「笪ちゃん…俺…」 「…幸祐には、少し刺激が強すぎたかな」  笪也は微笑みながら、ゆっくりと幸祐に顔を寄せてキスをした。唇を離すと、幸祐は、まだ夢見心地のような顔で、本当だ、と言った。そして笪也の胸元あたりに手を伸ばし、意図を持って乳首に触れた。 「ねぇ、笪ちゃん…俺、男同士のことって何もわかってないみたい…だから、ゆっくり教えて…ね」  こんなにも早く幸祐が男同士のセックスを受け入れようとしてくれるなんて、笪也にとっては嬉しい誤算だった。  その後も幸祐は布団に入ると笪也に擦り寄って甘えるのだった。

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