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第7話 二人の関係 (6)

 それからの数日は、幸祐には、経験をしたことがない濃密な時の連なりとなった。  毎晩、笪也は幸祐の未熟な襞に指を挿れて調教した。痛みや恐怖心を感じさせないよう焦ることなくゆっくりとおこなった。幸祐にとって初めてのローションも使った。笪也は無垢な幸祐を自分好みに仕立てようと、ご褒美もたっぷりと与えた。挿れる指の本数を増やす時は、幸祐の好きなフェラをしながら攻めた。違和感や押し広げられるの肉の痛みは、フェラの快感で相殺できているようだった。むしろ後孔の攻めが気持ちのいいものだと錯覚しているようにもみえた。  調教を始めて数日後、笪也は幸祐の解きほぐしたソコに、そろそろいいか、と思っていた。 「幸祐…どう?痛くない?」    笪也は幸祐に訊いた。 「…うん。大丈夫」 「幸祐、目を瞑って」  笪也は幸祐に目を閉じるように言うと、挿れている指を少し曲げて、ある一箇所を優しく擦った。 「…!」  幸祐は経験のない感覚に、目を見開いた。 「ほら、ちゃんと目を閉じて…俺に身を任せて」  笪也は目を閉じさせ、唇を塞いだ。ゆっくり摩り続けていると、次第に幸祐は眉根に皺を寄せて、逞しい笪也の背中に手を回し爪を立てるように掴んだ。 「…あっ…あぁ…あん、笪ちゃん…俺…なんかへん」  笪也は更にその箇所を攻めた。 「幸祐…ねぇ感じて。俺の指がさ、幸祐のいいところを触ってるんだよ」  幸祐は下腹部の奥にモゾモゾとした塊のような快感に、どうしていいかわからない様子だった。 「…笪ちゃん…俺、へんになりそう」 「大丈夫だよ…俺が幸祐をいいところへ連れていってあげるから…ほら、俺にゆだねて…幸祐の全部を」   笪也は更に強く擦った。 「あああっ…笪ちゃん…ああん…もう」  幸祐は膝を立てて踵に力を入れた。そしてまた脚を伸ばした瞬間ぴくつき始めた。すると、うっ、と言う声とともに腰の辺りが痙攣した。  何度目かの痙攣の後、幸祐は目を開けて、笪也を見つめた。その瞳は熱を帯びたように潤んでいた。 「笪ちゃん…俺、どうしちゃったの?」 「…幸祐…ねぇ、もう少し、させて」  笪也は幸祐を腹這いにして、腰を持ち上げた。やり過ぎかとも思ったが、幸祐の尻を左右に押し開き、既にいきり立ってる自分のモノをヌルついて緩くなってきた箇所に挿れ始めた。少しずつ広がるソコに笪也の亀頭がめり込むように入っていく。  無意識に逃げ腰になる幸祐を笪也は動かないように押さえ込んだ。 「…幸祐。少し辛抱して、お願い」  笪也の懇願するような甘い囁きに、幸祐も今自分が何をされているのか、わかり始めた。幸祐は、笪也のモノが自分の中に入ってきている、それはさっきの指とは比べようもないくらいの、圧倒的な硬い肉感を感じた。 「…笪ちゃんの…いいように…して」  幸祐の少し不安そうではあったが従順な声を聞くと、笪也は幸祐の腰を持って一気に亀頭を入れ込んだ。そして竿が半分くらいまで入ると、幸祐の未熟だった襞は極限まで広げられた。慣れさせるように極めてゆっくりと腰を前後に突き動かした。 「あぁ…幸祐、いいよ。凄くいい、お前のここ」  笪也はもっと深く挿れようと腰を動かしたが、襞の強い締め付けで奥まで挿れ進めるのは、少し時間がかかりそうだった。 「…笪ちゃん…ねぇ、俺…いいの?」  少し辛そうに幸祐は言った。 「ああ、むちゃくちゃいいよ…ずっと、お前とこうしていたいよ」  笪也は腰を引いては挿れてを繰り返して、幸祐の尻に自分の脚の付け根がようやく引っ付くようになると、その動きが激しくなった。肉同士がぶつかり合う湿った音と荒い息遣いが、マットレスの上の二人に絡みついているようだった。 「ああ…幸祐…幸祐…いいよ…凄くいい」  幸祐は、笪也のこんな興奮した声を聞くのは初めてだった。四つん這いの体勢で、いつ果てるのかもわからないまま、ひたすら笪也を受け入れていた。笪也の気持ちに応えるために。 「うっ…あっああぁ…幸祐…」  笪也は、幸祐の名前とともに、射った。そして、しばらくすると、はぁ、と大きく息を吐きだして、ゆっくりと幸祐の中から満足しきったモノを出した。  幸祐はうつ伏せになったまま動けないでいた。  笪也は幸祐の横に寝そべって、幸祐の額に貼り付いた髪を撫で上げた。 「ねぇ、大丈夫?」  幸祐は心配そうに見る笪也に、顔だけ横に向けるとうっすらと微笑んだ。 「うん…平気…だよ」 「嘘…辛かったくせに」 「うぅん…少しね…でも、笪ちゃんと一つになれた」 「そうだな…ありがとうな」  幸祐の健気な言葉に笪也は、心を掴まれた。 「幸祐…愛してるよ」  幸祐は、誰かに、愛してる、と言われたのは初めてだった。笪也の優しい瞳で凝視められていると幸祐はいつもより多幸感に包み込まれた。 「笪ちゃん…俺も…」  愛してる、と言われたこともなければ、当然、言ったこともない幸祐だったが、笪也の蕩けてしまいそうな優しい顔をみていると、自分も気持ちを伝えたくなった。が、いざ伝えようとすると、恥ずかしくて肝心な言葉が出なかった。 「…俺も…何?」  笪也は、幸祐の口からその言葉を聞きたかった。少し首を傾げて、待った。 「…俺も…笪ちゃんのこと…その…愛してます」  幸祐は笪也の顔を見ながら言うのは、どうにも恥ずかしくて、目を伏せて、人生初の、愛を伝えた。  そして、すぐさま顔をマットに押し付けると、みるみる首筋から耳まで赤くなっていった。  笪也はせっかくの愛の言葉なのに、視線も合わせず、しかも敬語だったことに、思わず苦笑した。 「ねぇ、ちゃんと俺の目を見て言ってよ」  笪也は幸祐の体をそっと仰向けにすると、幸祐の顎の下に指を入れて、目が合うように顔を向かせた。 「ねぇ…幸祐」  まだ、頬が赤い幸祐は上目遣いで笪也を見た。笪也は嬉しくてたまらない顔をしていた。 「ほら、早く」 「笪ちゃん…愛してる」 「ねぇ、もう一度」  幸祐は、もう一度、とねだる笪也がなんだか可愛く思えた。恥ずかしさは愛しさに変わっていった。 「愛してるよ…笪ちゃん」 「んふっ…ありがとう、幸祐。愛してるよ」  そう言って、笪也は唇を重ねた。

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