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第7話

 食事を楽しんだふたりが夜の街を歩く。  月が出ていた。丸い月だ。  酔って帰った。  と言っても多少ではあるのだが。 「セディ、大丈夫か?」 「うん……大丈夫」  足元が少しふらついているセディを抱えてきたハジメは、なんとか鍵を開けると、明かりもつけずに部屋の中を進む。  頼りになるのは月明かりばかりだ。  窓から差し込んだ月光がわだかまる寝室のベッドへと、そっとセドリックの火照った身体を下ろした。 「眠いかな?」  ハジメは尋ねながら、添い寝してセドリックの首筋にキスを落とす。 「ん……少し」 「眠る?」  もう一度、今度は耳にキス。 「ぁ……っ……」  ハジメのキスでうっすらと目を開けたセドリックに、今度はその唇へとくちづけた。 「セディ……」  ハジメは優しく唇をはんでセドリックの様子を伺う。 「ん……」  半醒のセドリックが、呼ばれてハジメにそっとキスを返した。  たどたどしいキスだ。 「…………」  ハジメは我慢が効かなくなり、思わずセドリックの頭を抱え込むと、遮二無二、深くキスを貪り、セドリックの薄い舌をきつく吸い上げる。 「んっ…んんッ」  深いキスをしばらく続けていると、息が継げていないセドリックにようやく気づき、ハジメが唇を放した。 「ハジメ……くるし……」 「ごめん、セディ」  言っておきながらもハジメは、再びキス。  幾度か唇を触れあい、口を開かせると、ハジメの舌が忍び込んでセドリックの舌を絡め取る──ハジメはもはや自分をコントロールする術を失ってしまったようだ。 「ずっとこうしたかった」 「ひぁ……っあっ……んんっ……んっ」  耳たぶを揉みしだかれながらされるキスに、セドリックは恍惚と溺れる。  ハジメの大きな手は、顔から次第に下へとすべりおりていき、セドリックは服の上から逞しい指先で胸の先端──乳首を嬲られた。 「ぁっ……ぁっ……」 「セディは敏感だな。前もここ、感じてた」 「知らな……ハジメに触られたら、気持ちよくなっっちゃ……って」  くりくりと中指でセドリックの乳首をいじっていたハジメは、するりとシャツをたくし上げ、弄られてほつりと立ち上がってしまった桃色の小さな先端を露わにする。 「あっハジメ……っ」  ハジメは、乳首にふうと熱い息を吹きかけ、それから尖り切った乳頭の周りをくるりと舌先で舐め上げた。 「やっ……ハジメぇ……」  直に触れられないもどかしさに、セドリックが首を振る。  その声にハジメは、チラリと様子を伺うと、ピンとなまめかしく起ち上がっているセドリックの乳首を舌先でつついた。 「あっ……!」  上り詰めていた感覚に刺激が触れ、セドリックは思わず背筋を伸び上がらせる。  じんじんとした快感に痺れ、セドリックは思わずハジメの髪に指を梳き入れた。 「や……ハジメ……だめ」  制止する声には構わずハジメはセドリックの乳首に、今度はべったりと舌先を押し当てる。 「ぁあっ!」  胸を優しく揉まれながら、舌全体で乳首を包まれた。そして次には舌先で、チロチロと乳首を舐め上げられ、そのぬるりとした熱い舌の濡れた感触に、セドリックは快感が込み上がる。  舌を押し当てたまま繰り返しきつく乳首を吸われ、空気ごと啜り上げられた。 「やっ……ハジメ、やぁ……!」  大きな声が出てしまったセドリックに、ハジメは意地悪く言った。 「声、落として、セディ。この部屋、音が筒抜けなんだ」  セドリックは、一瞬正気に戻ると、両手で自分の口元を覆う。  その手の甲にキスを落としてハジメが笑った。 「その調子。かわいいね、セディ」  ちゅっと乳首を吸い上げてハジメはまた、セドリックの乳首を舐め回しはじめる。セドリックの口元の手はまた外れてしまい――それでも、声は必死に押し殺しているようだ。 「んぁ……ぁ……っぁあっ」  押し殺しているのだが、ときおり甲高い掠れ声が、喉奥から絞り出される。  ハジメはその声も愛おしくなって、セドリックの喉元に唇を押し当てた。 「はぁ……」  乳首から唇が離れ、ようやく息を継げたセドリックのこめかみにキスをして、海のような瞳から溢れた涙を拭う。 「もっと気持ちよくなろうか」  ハジメはそう言うと、セドリックのズボンのフロントを撫で上げる。 「ぁっ……!」。  優しく敏感な部分を擦り上げられ、思わずセドリックの腰が揺れた。 「ふふ、色っぽい」 「ハジメ、ひどい……意地悪しないで」 「意地悪?」  ハジメは優しくセドリックの髪にキス。 「ちがうよ。愛撫してるんだ。本当にかわいいね、セディ」  そう言って、ハジメはセドリックのゆったりとした白いジーパンのフロントを開け、下着の中へと手を潜り込ませた。 「熱いね。少し硬くなってる。興奮した?」 「言わないで……」 「ああ、先がぬるぬるだ。濡れてる。先走りが滲んだね?」  ハジメは溢れて垂れたセドリックの蜜を指先ですくい、熱を持ち始めたセドリックのすべらかな先端にぬちゅぬちゅと塗りつける。 「あっ……あっ……っ」  思わず腰を振るセドリックの揺れに合わせて、ハジメはセドリックの陰茎を擦り上げた。 「気持ちいい?」  幾度も髪にソフト・キス。  こくこくと頷くセドリックの愛らしい姿にハジメは欲情し、再び乳首を舐め上げながら、激しくセドリックを手淫する。 「ん、ん~~~~っ!」  セドリックは堪えきれずに懇願した。 「ぁ……だめ、放して、ハジメもう……」 「ごめん、ここにもキスしたい」  ハジメは、ふいに動きを止めると、身を屈め、セドリックの陰茎にべったりと舌を押しつけて舐め上げると、そのままゆっくりと飲み込んだ。 「~~~~~~~~~~ッ!」  セドリックの声にならない声。  激しい口淫を必死に堪え、セドリックはハジメの頭を押しのけようとする。 「やっ……放してっ……ハジメっ……ダメ、出ちゃう……出ちゃうから……」  涙目でうったえるセドリックを、ハジメはなだめもせずに責め上げた。 「いやぁ……っ」  やがて小さな悲鳴を上げると、びくびくと身を震わせ、セドリックはハジメの口の中へと射精してしまう。  ゴクリとそれを飲み込んだハジメは、身を起こすと、呼吸も荒いままにセドリックの足から下着ごと衣類を引き下ろした。 「ハジメ……?」  露わにされた下半身。  ハジメは舌先を伸ばすと、セドリックの深紅のアナルへと突き立てた。 「あっ……ん」  ちゅぷちゅぷと音を立てて、ハジメの舌がアナルに入り込んでくる。 「やめて……ハジメ……汚いから……やめ…ぁあっ…」  ハジメは何も応えずに顔を上げる。  ふーふーと肩で息をし、獲物を見るような目で、セドリックを見た。  片手でサイドチェストの引き出しを開けると、中からチューブを取りだし、ハジメはそれをくわえて開ける。セドリックを見据えたまま、片手にたっぷりと中身のジェルを垂らし落とした。 「足、もっと開いて」  ハジメが言葉少なに耳元へ囁き、中指と薬指に掬い取ったジェルをまみれさせると、セドリックのアナルへと押し当てる。 「挿れるよ……」  セドリックの耳元にもう一度囁いて、ハジメはセドリックにくちづけながら、押し当てた指先をゆっくりと中へと挿入する。  少し冷たい感触は最初だけで、すぐに興奮で高まったハジメの体温が、押し込まれた指先から伝わった。 「んっ……んっんっ」  力を抜けと言わんばかりに口づけられたハジメの舌が、セドリックの舌を優しく愛撫する。  アナルに指を中程まで押し込めては抜き出し、ハジメは執拗にくちづけながらセドリックのアナルを解していった。  ぬぷっ……ぬりゅ……ぬぷっ……。  卑猥な音を立てて指を抜き差しされ、セドリックは吐息を漏らすことしか出来ない。 「……んっ……ふっ……んんっ……」  セドリックの呼吸がだんだん落ち着いて行くのを見計らい、ハジメは指を徐々に深く差しいれる。 「あ……っんんっあ……ハジメ……っ」  そしてある時、セドリックの胎内をハジメはゆっくりと指でなぞり上げた。 「ふぁっ……!?」  その瞬間声を上げてしまったセドリックに、ハジメが嬉しそうに言った。 「ここ、気持ちいいかい? 覚えてくれ、セディの良いところだ」  幾度も幾度も内壁を差し込まれた指先でなぞり上げられ、セドリックはまた、腰が揺れ始める。 「え? 変……ハジメ、なんか変だよ……ぁん……ァっあっ……そこ、だめ……そこ……ぁん、だめ……」 「何がダメなんだ?」 「はぁ……っだめ、イッたのに……また気持ちよくなっちゃう……あっ……ぁやめて……ぁんっ」 「ここ、今から沢山突いてあげるから、セディ、良い子に足を広げて」 「そんな……」 「セディ。お願いだ。俺を受け入れてくれ」  一瞬、目が合った。  爛々としたハジメの眼差しに、セドリックは飲み込まれる。  ――あ、食べられちゃう……。  セドリックの背筋にぞくりとしたものが走る。  ぐいと足を押し広げられ、セドリックはアナルに押し当てらたハジメの昂ぶりを感じたと思った瞬間、ずぶりと深く、根元まで熱に貫かれていた。 「ぁあっ!」 「セディ」  ハジメは、セドリックの身体を抱きしめると、そのまましばらく動かない。 「ハジメ……」  ふたりは繋がったまま深くキスを交わした。  やがてセドリックのアナルがハジメの形に馴染んだ頃、ハジメはゆっくりと、セドリックの身体を揺すぶり始める。 「セディ、動くよ?」  囁いて、ハジメは腰を引いた。 「ん……ぁ……ぁっ……ハジメ……」 「大丈夫だ、さっきのところに集中して」  ぱちゅん……ぱちゅん……  ハジメはゆっくりと腰を使う。  アナルは柔らかく広がったようだ。様子を伺っていたハジメは安堵すると、深く、セドリックを突き上げる。 「あぁっ!」 「セディ。痛いところはないか?」  静かに揺さぶりながら尋ねるハジメに、セドリックが答えた。 「なんでだろう、幸せなのに、ハジメ、僕……胸が痛いみたい……」  ハジメのかろうじて残っていた理性が、至福感に焼き切れる。 「セディ!」 「ぁっ……あっ……あっ……ハジメっ……あっ……ああっ……!」  容赦なく分け入ってくるはじめの剛直にアナルを貫かれ、セドリックはハジメにしがみつく他はなかった。 「ゃっ……あっ……あっ……あっ……」  足を押し広げ、腰を強く打ち付け、ハジメは荒い息を繰り返しながらセドリックを激しく抱いた。 「ぁ……あ、ハジメだめ、……なんか、来るみたい……ハジメ……ぁっ……あっ……」  込み上げる絶頂感に、セディの胎内が収縮する。 「セディ……俺も……もっ……ああ、中に、セディの中に出……っ」 「ハジメっ」  しがみついてくるセドリックを、きつく抱き返し、ハジメは、突き入れたセドリックの奥深くへと残らず射精する。 「ぁ……あ……、ハジメの、中に出てる……」 「セディ……」  ふたりはまたしばらく繋がったまま、深いキスを交わした。  その夜ハジメは幸福感に幾度もセドリックを抱き、外は白々と夜が明け始めたころ――薄明かりの中で、ようやくふたりは眠りに落ちたのだった。

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