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プロローグ。

古に、神に仕える者が存在する。 有名なのは、禰宜(ねぎ)。 まぁ、世に言う神に仕える者は、そう呼ばれている。 そんな中で『中村家』と言うのは、由緒正しき、旧家で巫女や、神子、皇子、姫神を生んできた家系。 当主である『中村 玲炎(なかむら れいえん)』を、筆頭にし、娘の『玲樺(れいか)』と、その息子にあたる三十四代目『玲羅(れいら)』を、引き継いだ、僕。 本当は、玲羅(れいら)という名じゃなく玲羅と、書いて『あきら』と、付けて欲しかった。 しかしながら『可愛くないから、却下!』と、即、没にされた。 僕の、人生の中で、これ程、不条理な事は無い。 だけど…。 一番は、父親じゃないだろうか。 祖父にあたる玲炎に聞いたら『それはそれは、素晴らしい人材だよ。玲樺にも厳しく、しかも、声は、イケボだ。ただ、嫉妬深いというか、冷淡というか…何とも言えない境遇を生ませる達人だ』と、説明された。 この、狸。 侮れない。 否、本人の前で言ったら、封じられそうだから、言わない。 けれど、侮れないのは、事実。 『イザヤ…お勉強は、終わりました?』 不意に、脳裏に、響き渡る母様の声音。 「…後少しで」 『本当に?後で、朱鵺に、確かめさせますよ?』 何故、何時も、朱雀帝のお訪ね者に、僕の宿題を、確認させるのか。 最近、その、朱兄ぃが、父親じゃないかと、思えてきた。僕の髪は、赤と言うよりは、朱に近いし、瞳の色は、隔世遺伝なのかは解らないけど、異なっている。 幼き頃からの疑問。 祖父からは、ああいう風に、聞かされているし、他の事は、聞けない。 朱兄ぃって、母様の何なの? 朱雀帝のならず者だよね? 何故、普通に、神の使いを、受け入れているのか、不思議だ。 そんな事を、当時の僕は、思っていた。

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