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あの、祖父なら有り得ると、確信があった。 京都の貴船神社地区に棲んでる理由だって『龍脈ありますし、水の神に、護られていますからね。離れられません』と、言っていたから、納得出来てしまう。 此処は、日本古来から龍神に護られ、陰陽師という術師を誕生させた地。何より有名な『安倍晴明』は、貴族の中で一番身分が低い家系だが、陰陽師としてなり始めた年齢が驚きだ。 七十代で、稀代な陰陽師として、御上を納得させた実力者。 その名は、永劫に讃えられ、神社も存在する。 ただ、場所が裏祇園。 そう…。 中村家は、表祇園に、拠点を置く一族。 「誤魔化しが上手い…母、玲樺は言いました。『ある兄妹神が、護る場所を決める時に…兄から『私は、裏祇園を』と、残されているのは、表祇園だけ。それを、妹は、納得して『では、私は、表祇園で』と、答えたそうです。それが、中村家の始まりだとか』ふぅぅぅ…」 思い返せば、幼子に聞かせる話だったのかは 不明だったが、日本神話に出てくる国作りの神じゃないのだから、地区を分ける必要があったのか不思議だった。 確かに、京都は囲碁盤みたく出来ていて、表裏がある。どの辺りから分けているのかは謎。 ただ、中村家が建っているのは、紛いもなく、貴船神社の方。 まさに、神のご加護を感じる瞬間に遭遇しそうな場所だ。一方、裏祇園の方は、一族の名を知らない玲羅だった。 「というか、僕の日常なんて、本を読んで…勉強して、学校で、ボケーっとしての、女子を軽くあしらいながら、からあげ君を食べているという日々…」 要するに、刺激が、足りない。 学位だって、それなりに執れているから将来は、安泰。 鳴呼、母のお陰だ。 頭の良さは、解らないけど。 玲羅は、力を抜いて花畑を浮かばせる。 こいゆう感じになるのは、遺伝らしくって仕方がないと、自負しているのであった。 この、弛んだ表情は、普段は浮かべない彼からしたら、唯一の時間だ。
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