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-京都·貴船神社地区·中村家·玲羅の寝室 「過去の中で、何が、大変かって」 歴史だよ、歴史。 思わず、溜め息を付く玲羅。 名前の由来が、関わっているのは解るが、母親は、鬼だとつくづく思う。 「もう!イザヤと、名乗ってもバチは、当たらないだろう!鬼巫女」 手にしていた資料を見ながら、唖然と、させられる。 イザヤ書は、第一章から第六十四章まであるのだ。これを『読みなさい』と、渡してきた女性は、鬼の他でも無く、冷徹人間。 「巫女職といって、政府界荒らしまくっている冷徹女だから。僕の事、息子だと自覚はアリだが、朱兄ぃと、忙しそうにしているから」 元々、腹黒祖父の計らいで、朱雀帝の皇子を引き取った。 それを、あの、母親は、ニコニコしながら顎で使っている様が、浮かぶ。 ムスッと、拗ねた顔をする彼は、ベッドへ と、腰を下ろした。 玲羅も、良い年齢なのだ。式役の一人や二人ぐらい欲しい。 折角、京都の地に居るのだから四神の一人と、契約しても大丈夫な気はする。しかし『まだ、早いですよ』と、一点張りで、埒が明かない。 なので、此処は、母、玲樺を生んだ母親に願いたいのであった。 「確か、祖父様言っていたっけ。『凄く、気紛れ且つ…降りて来ないんだよ』って」 何処から降りて来るんだ?と、当時は、思っていた。 母を生んだ女性の存在すら隠すんだよな。世間体か、それとも、他に理由があるのかな。 「でも…逢ってみたいかも」 術師である祖父に、惚れられた女性を、目に見てみたい。 どれだけ、誉れな事だろうと、心の中で思う玲羅が居た。 だが、資料の内容を頭に入れないという作業が残っている。 これだけは、贖えない。 母、玲樺の性格を知っている青年からすれば全て、修行なのだと、片付いてしまう。 よって、とてつも無く忙しい母に代わり、祖父が何かを仕掛けてきそうな予感がしたのは、言わないでおこうと、決めた。
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