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第14話 六本木ディアボラ

 久しぶりのディアボラ。 「凍夜、来てくれたんだ。」 淳と零士が飛んできた。 「キースもいらっしゃい。 あはは、イケメン勢揃いで、やりにくいなぁ。」 ミコトが飲み物を聞く。 「ああ、淳たちは遠慮しないで何でも頼んで。 今、何が流行ってるの?」 「テキーラローズ!」 「女の子の飲み物じゃねぇ?」 「アルマン・ド、持ってこいよ。淳と零士に。」 久しぶりに賑やかだ。  カップルが入って来た。なんとミクオがあの女性を連れている。しかも円城寺がエスコートしている。  「俺たちの後をつけてきたのか?」 「違うよ。あの女の人は下の階の、 アンジーのママだよ。  円城寺さんの片腕、みたいなもんだ。) 淳と零士は事情に詳しい。  あのミクオの妻だ、と自称している女性は、 キャバクラ『アンジー』を仕切っているやり手のママだった。  富沢京子。アンジーの開店のために、円城寺が銀座からスカウトして来た。  デイアボラの太客である、銀座のクラブ『花包み』の千里ママの懐刀と言われていた。  藤尾集蔵のコネで引き抜いてきた女性だ。  藤尾さんと言うのは、この東京を束ねる裏の帝王と言われている存在だ。奥のご老人の子飼いだ。その話はまた別の機会にしよう。  その藤尾さんに惚れて、愛人だった千里ママはつらい別れの後、今ではディアボラの太客だ。  千里ママが泣く泣く別れた藤尾さんには権現誓った男の連れ合いがいる。 「まったく!いい男はみんなゲイに持ってかれる。」  どこかで聞いた話がここにもある。

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