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第24話 打ち上げ

「みんな打ち上げは『アンジー』を使ってね。 今日は臨時休業で、店に打ち上げの用意してあるから。」  京子ママの一声でみんなの歓声が上がった。 初めて会った人もみんなウェルカムで、ライブの興奮冷めやらず、なのだ。  凍夜がミコトを探した。隅の方で邪魔にならないように小さくなっているミコトを一足先にアンジーのナザレが見つけて声をかけた。 「ミコトが作詞したんだって? 凄い、こんな才能あったんだ。」 「ありがとう、来てくれたんだね。」 「ミコトはまだ、ホスト辞めてないんでしょ。 凍夜は辞めちゃって今度はバンドだって? ミコトとはどういう関係なの?」  ナザレは凍夜とミコトが一緒に暮らしている事を知らない。  アンジーのみんなも知らないのだろう。  打ち上げは盛り上がった。 以前、誑しだった凍夜が手をつけた嬢たちが多くてどうなる事かとハラハラしたが、凍夜はそんな事お構いなしだ。  松ちゃんのファンがたくさん残っていて、ここではアカデミックな音楽の話が尽きないようだ  ネットを通じた仲間のオフ会のようになっているらしい。サックスを愛している真面目で感じのいい人達だ。  タカヨシとテツの追っかけは、まだ女子高生の雰囲気を残している女の子達、女子大生か、賑やかだ。 「タカもテツも長い付き合いで、いい男だと思ってずっと好きだったけど、凍夜さんとキースさんが国宝級のイケメンで焦ったわ。  どうやって知り合ったの?」 「おいおい顔かよ。バンドはどうだった?」 「うん、ボーカルとドラムがカッコよかった。 「違うだろ。T校、軽音のイケメンコンビを忘れてないか?」 「俺もホーンやろうかな? カッコよかった。松ちゃんに弟子入りしたい。」  美味しそうな物がテーブルいっぱいに並んでいる。 「美味しいって評判の『マダム関口』のケータリングよ。中々予約が取れなくて有名なの。 隼人からみんなに、って。」  隼人とは、10階にあるこの店と、上の最上階13階にあるホストクラブ『ディアボラ』の社長、円城寺隼人の事だ。ミコトの働いている店だ。  円城寺は、京子ママを銀座から引き抜いて来た弱みがあるらしい。  差し入れのシャンパンで乾杯した。ドンペリ、数本のマグナムボトルはホスト一同からだと言う。凍夜も以前はナンバーに入っていた過去がある。みんな知り合いだ。

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