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第30話 ボカロ
北島は、いくつかの曲を聞かせてくれた。パソコンで作った曲。最初はボカロに歌わせてたらしい。可愛い系のアニメが好きなんだという。
彼の描いたボーカロイドは、可愛い顔に豊満な身体が露出の多い服装で、いかにもって感じだ。
「これって北島の理想の女の子なの?」
「可愛い顔してちょっとエッチそうな娘だね。
ファンがたくさん付きそう。」
タカヨシの声にテツが
「もうかなり有名だよ。知る人ぞ知る!
北島の描く夢ちゃん。観音寺夢子。
コアなファンが付いてるよ。」
「スゲェ、カッコいい。」
北島はちょっと恥ずかしそうでちょっと自慢そうな顔をした。
「ここで歌ってるの北島の作った歌なのか?」
ミクオが聞いた。頷く北島を見て
「かなり良い感じだな。」
テツが突然言いだした。
「北島呼びしてるけど名前なんて言うんだ?」
「だから北島三郎です。ふざけてないよ、本名だ。親父が北島三郎の大ファンで付けたんだよ。
せっかく、名字が北島なんだからって。」
「そうか、ふざけてるって思った。
ごめん、じゃあ、サブって呼んでいい?」
「ああ、自己紹介がいつも嫌だった。
サブって呼んでくれ。」
みんな自己紹介を始めた。
「私は立花澳門(たちばなみくお)、車のエンジニアが本職だ。」
ミコトを送った凍夜がやってきた。
「俺は山川凍夜、凍てついた夜と書く。29才だ。あと今は仕事中のミコト、俺の嫁。」
「えっ?」
サブは驚いている。作詞をしている人、嫁?男?
「キースは知ってるよね。ここの住人だ。ドラマーだよ。タカヨシはネットを通じて前から知ってるでしょ。
後でサックスの松ちゃんも来ると思う。」
キースを見てサブが聞いた。
「外国の人なの?」
「うん、ドイツ人と日本人のハーフ。
ドイツ人の親父が下の階に住んでるよ。」
「大事な事忘れてた。サブは今夜どうする?
泊まるところあるのか?」
「まだ、決めてない。
実は俺、金がないんだ。
飛行機代で全部使ったから。」
テツが困った顔をした。
「初めて会った人を泊められる部屋がないよ。
どうする?」
キースが気楽な感じで
「ここに泊まるか?」
タカヨシが
「大丈夫なの?サブって信用出来るのか?」
ずいぶん失礼な事を言っている。
「隣の僕の部屋にベッドもお風呂もあるから
使ってもらおう。」
キースは太っ腹だ。
「大丈夫、友達だろ。」
タカヨシは一つの疑問を持っている。
(ネットに流したのはサブじゃないのか?)
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