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第36話 遊び方
サブは遊びに行くって事がよくわからない。
ネット情報で何でも知ってる気がしていたが、実は何も知らない。
ミコトが勤めるホストクラブに連れて行かれた。
「ミコト、ホストなんて務まるのかなぁ?」
きらびやかな店内に、凍夜も以前勤めていたとかで、何人も知り合いのような人が来る。
「いらっしゃいませ、零士です。」
優しそうなイケメンが名刺をくれた。
「あの、観音寺夢子の生みの親だよ。」
凍夜の紹介で一気に席が盛り上がる。
ミコトがカッコいいスーツ姿でやって来た。もうベテランの雰囲気だ。
「サブ、ご指名ありがと。」
身に覚えのない事を言われる。
「凍夜が気を利かせてくれたんだよ。」
小さな声で
「俺、金ないよ。」
凍夜に言うと笑って、
「大丈夫。ここは俺が払うから。
アルマンド持って来て。」
凄い高そうなシャンパンが来た。
(いくらするんだろう。)
サブはビビった。なんだかお尻が落ち着かない。
「この店はあんまり騒がないんだね。
テレビで見るホストクラブと違うな。」
「あんまり、コールとかしないんだ。
女性客もそういうの嫌いな人が多いから。
誰かの誕生日くらいかな。」
周りを見ると、落ち着いたお客さんばかりのようだ。みんな金持ちの顔をしている。
(俺、一張羅のスーツで来て恥ずかしいな。)
ミコトが隣に座ってくれた。
何を話したらいいのかわからない。
サブはどっと疲れて雰囲気に当てられて帰って来た。
「今度はキャバクラに行こう。」
サブは何が楽しいのかわからなかった。ミコトが隣にいるのだけが楽しかった。
ミコトは自分が類稀(たぐいまれ)な可憐さを秘めていることに気付かない。凍夜は出来れば隠したい、と思っていた。
「ミコトは俺だけのもの。」
いつもそう言って抱きしめる。
「凍夜は、誰もが振り返るほどのイケメンなのに、なんでオレの恋人になってくれてるのか?
謎だな。」
ミコトは欲がない。
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