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第48話 サブ 3

 雑誌の特集でバンド『凍てついた夜』が紹介された。作詞のミコトとサブも作曲のテツと一緒に写真入りで特集が組まれた。 ー1970年代のロックが再燃ー  面映いタイトルは話題になった。ファンが増えた。キースや凍夜はもちろんだが、特に話題になっているのがサブ。 「ボカロの観音寺夢子の生みの親の北島さんですが、彼女とかいないんですか?」 「えーと、彼女募集中なんだけど、夢子に叱られるかな。」  夢子ファンも多い。男性ファンが多い。高額のフィギュアが飛ぶように売れているという。かなり精密だそうだ。着せ替え人形の夢子も人気だ。  等身大の夢子を部屋に飾っている。 彼女候補のファンレターがたくさん届くようになった。雑誌のインタビューの写真がイケメンだとバズっている。 「俺がイケメン?」 「そう、イケメン揃いのバンドだって。」  テツもタカヨシも高校時代から追っかけがいるほどモテていた。ミクオもイケおじと言われている。松ちゃんはすでにファンクラブが出来ていた。タレント性抜群のロックバンドとして話題だ。  サブの人気が急上昇中。出待ちの女の子たちのお目当てが変わった。 「キャーッ、サブ、彼女にして!」 「私、夢ちゃんに似てるって言われるの。 サブの理想なんでしょ!」  女子のパワーは凄い。 等身大に近いフィギュアがある。サブの理想を込めて作ってもらった。  くびれたウエスト、長い足、大きい胸と少し大きいお尻。サブの妄想の産物だ。  もちろん顔も思いつく限り可愛くした。栗色の長い髪。サブの好み、直球だ。  そっくりなコスプレで出待ちするファンも現れた。 「凄いなサブ、よりどりみどりだぜ。 どの子がいい?」  テツがとんでもない事を言う。 ある日積極的なファンの娘が実力行使に出た。

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