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第49話 サブ 4

 コスプレ女子は、隙を見て配達人に紛れてオートロックを抜けた。3階のサブの個室に入り込んだ。事前のリサーチが出来ているようだ。 「ふぅ、ここがサブの部屋?となりがスタジオになってるって雑誌の記事に出てた。  シンプルでカッコいい部屋だわ。フィギュアが飾ってある。大きいサイズの夢子ちゃん。」  彼女は部屋を眺めて写メを撮りまくる。乱れたベッドが男の一人暮らしを物語っている。  布団に潜り込んでみた。 「ああ、サブの匂い。」  悪ノリして服をはだけさせて肩を出してみた。この頃の服はダウンショルダーだから、すぐに肩が出せる。  ベッドで自撮りして、まるでここにサブがいるように見せる。 「ああん、サブ、ダメよ、いきなり。」 動画に音声を入れて見る。本当にベッドに誰かいるように見える。    その時ドアが開いてサブが入って来た。 「何?あんた誰?なんで俺のベッドに寝てるの?」  後ろからキースも入って来た。メンバーがみんなで驚いて見てる。 「誰?おまえ。 勝手に入って来たら泥棒だよ。 何やってんの?」  女の子は泣き出した。泣かれると何も出来ない。何か写メを撮っていたのは削除してもらった。 「ごめんなさい、ずっとファンだったんです。」 「えっ、俺の?キースや凍夜じゃなくて?」 「本当に大好きなんです。悪い事だと思ったけど こうしないと会えないって思って。」  泣きじゃくって言い訳をしている。 写メを削除させて、住所氏名を書かせて帰す事 にした。 「警察に通報しないの?」 みんなあの男の一件で警察は嫌いになっていた。面倒だ。それが大炎上するとは思いもよらなかった。 「ねえ、ネットにサブの部屋が流れてるよ。 あの女の子がベッドで半裸で肩出して写ってる。」  キースが見つけた。あの時の娘だ。ベッドにいる。強姦された、とは言っていない。合意の上でのベッドインに見える。 「ああん、ダメよ、サブ。」 なんて声が入っている。サブの声は一切入っていない。キチンと見れば、一人芝居だとわかる。 「あの時、写メは削除させたけど、とっさにどこかに送信したのかもしれない。甘かったな。」 「あの娘、きっと住所も名前もデタラメだろう。」 「ひでぇなぁ。」 「信じられないよ。」 「サブに何かされた、とは言ってないんだよね。」

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