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第77話 披露宴

 キースとミクオが座敷から降りてきてバンドメンバーと合流した。 「ふーっ、緊張した。ミクオ着替え持ってきたよ。」 キースが甲斐甲斐しく世話を焼いている。あの豪華な控え室に消えた。 「ミクオさん、和装が似合うね。」  メンバーはこの前、銀座で誂えたタキシードを着ている。アクセサリーをたくさん付けて個性的な着崩し方でみんなカッコいい。  今日の招待客は多岐にわたって、凄い顔触れ、有名人だらけだ。みんな旧交を温めている。  披露パーティには、ヤマトとタケルの顔も見える。ミコトが駆け寄って 「ヤマト、タケル、来たんだね。」 ハグしてくれる。 「後で凍夜たちのバンドが出るよ。 ステージ見てて。」  ヤマトが目を見つめて手を握って 「ミコト、幸せなのか?」 と念を押すように聞く。 「うん!」 ニッコリ笑って返事するミコトが可愛い。 「あ、傑さんだ、挨拶してくるよ。」  タケルの尊敬する『バー高任』のマスターを見つけた。レオンも一緒だ。二人とも祝言の席にもいたので羽織袴姿で素敵だ。  パーティのコンパニオンとして、『アンジー』の嬢たちが来ている。  ディアボラのホストたちも全員集合している。 「レオンとミコトは今日はお客さんだよ。 気を使わなくていいからね。お給料出ないよ。」  潤と零士が笑いながらフルートグラスを運んできた。みんなシャンパンを手に取った。 「僭越ながら、乾杯の音頭を取らせて頂きます。藤田コンツェルンの藤田國士でございます。 皆様のご健勝を、乾杯!」  カッコいいマッチョな國士が声を出した。一斉の乾杯に盛り上がる。    テツは『アンジー』のナザレを見つけた。そばに行こうとすると、間に入ってきた男に邪魔された。 「ナザレ、今日も綺麗だね。」 肩を抱いて向こうへ連れて行ってしまった。  ミコトが 「音楽事務所『ネクスト』の小池社長だよ。 ナザレがお気に入りなんだ。」 「なんか嫌な奴。 俺が先に声をかけたの、見てたのに。」

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