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第89話 あゆむくん 4

 小学校を卒業した。中学の入学式の後、あゆむくんが来るという。  制服姿が見られると期待した。スクールガール風の制服に妄想が広がる。  やって来たのはいつものパーカーにジーパンのあゆむくんだった。 「なんだ、中学の制服見たかったのに。」 「見せられないよ。だって秘密がバレちゃう。」  約束通りキスした。あゆむくんは初めてのキス。感極まって抱きしめてしまう。 「あ、あ、大人はこのままセックスになるの? ボクはまだダメ?」  お互いに興奮しているのがわかる。思わず身体を弄る。手が胸を触った。 「え?」  全くふくらみがない。中一ならこんなものか? その手が下に降りて下着の中に入った。 「え?おまえ?」  固くなったペニスに触れた。 「あゆむくん、男の子?」  サブは初めて気づいた。今まで気づかなかった自分の迂闊さに驚く。背の高さも納得出来る。 「ボクの事、嫌いになった?」 「ホントにボクだったんだな。」  身体を弄りながら、何故か愛しさが募って、何度もくちづけてしまう。 「それで制服を見せなかったんだな。」  あゆむくんの見方が変わった。 (俺は、凍夜やキースのようなゲイではない、と思ってた。でもあゆむくんが男でも抵抗はない。 あゆむくんが大切なんだ。) 「制服は詰襟か?ブレザーか? どっちも萌え、だな。」 「やだ、サブ変態!」  心から可愛いと思えるのは、今までセーブしてきたからだろうか。  これからも禁欲生活は続く。18才になるまで手を出さない、と決めたから。  スタジオに凍夜が来た。ミコトを送ってきた所だという。   思い切って聞いてみた。 「凍夜、初めての時はどうすればいいの?」 「何、サブ、男に目覚めた? 相手もバージン?え、前も後ろも?」  (そんな男いたかな?) 「ああ、この頃付き合ってるあゆむくんとか? え?あの子男なの?」  凍夜の経験で、とにかく時間をかけろ、と言われた。ミコトにしたように。  まだまだ先は長い。6年もある。  それからはあゆむくんが来る度に、キスの嵐だった。二人ともキスが上手になった。  中学生の初々しいあゆむくんは、綺麗だった。

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