93 / 143
第93話 禁断の果実
帰りが遅くなった。急いで家に送る。門限を過ぎたので連絡して、家まで送ることにした。
頬を染めて見つめるあゆむくんがまばゆくて見つめ返せない。
「なんか、ごめん。
ここまでするつもりはなかったんだ。
まだ13才だろ。先は長いな。」
男同士の交際が許される訳もなく、未来は真っ暗だ。サブは絶望を感じた。
「遅くなってすみません。
はじめまして、私は北島三郎といいます。」
あゆむくんの母親は、混乱の極みだったろう。
目を白黒させて挨拶も出来ないようだった。
「いえ、あの。送っていただいて。」
サブは仕事用の名刺を差し出した。
ーウェブサイト運営・ユーチューバー・作詞家
北島三郎ー
と書いてある。渉外用のマトモな方の名刺だが、
ユーチューバー、が胡散臭い印象を与えたようだ。
「また、改めてご挨拶に伺います。
失礼します。」
あゆむくんは、後で叱られた、とメールが来た。母親は敏感だ。異変に気付いたようだった。
女の子だったら、破瓜、というのだ。母親にはわかるだろう。
一体何をもってセックスというのだろう。もう裸で抱き合う事にも慣れた。
何を18才まで待つというのだ?
(もうやめよう。あゆむくんの身体を求めるのは。子供なんだ。良くない習慣を付けてしまう。)
あゆむくんが来る時は、先に必ずメールが届く。
土曜日、
ー今日はお昼頃行ってもいい?ー
メールに返事が出来ない。
昨日、あゆむくんの母親から電話があったのだ。
「あなたは、どういうおつもりですか?
こんな子供を相手に何がしたいんですか?
この頃、あゆむはいつも上の空です。
成績も下がっています。身体が大きくてもあゆむはまだ中学生なのですよ。
そちらに行くと言っても断ってください。
冷たくあしらってください。」
サブはしどろもどろでキチンと受け答えが出来なかった。申し開きは出来ない。
ともだちにシェアしよう!