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第120話 ショッピングモール
二人で買い物に来るのは楽しい。ジヌもそこそこ稼げるようになった。
「テツに何かプレゼントしたい。何がいい?」
さっきネクタイを買ったところだ。二人似た雰囲気のタイ。
「姫たちに、からかわれるよ。」
ジヌは心配したが、テツは気にしない。
アクセサリー売り場があった。若者に人気のシルバーアクセサリーの店『ウルフマン』。
お揃いでバングルを買った。ペアでつけるのはためらわれる。指輪よりはましだ、と思った。
「何か名前とか彫りますか?」
テツが
「じゃあ、ジヌ、マイラブで。」
「じゃあ、テツ、サランヘヨで。」
二人で顔を見合わせた。
「ディアボラにつけていけないね。」
すぐに出来たのでお互いに腕に付けた。
二人で出かけるのは楽しい。まるでデートだ。
肩を並べて歩いていたら、ジヌが手を繋いできた。テツはドキドキしてしまう。ガキだ。
「恥ずかしいな。」
テツの声にジヌは手を引っ込めた。テツはその手を探して前より強く握った。
「俺の手を離すなよ。」
モールは混雑してきた。
制服の女子高生が数人、繋いだ手を見つけて
「キモッ!ホモ?」
聞こえよがしに言った。
「お揃いのバングルなんかしちゃって手を繋いで、キモイんですけど。」
「待って、あの人。バンドの人。」
「あっ、そうそう『凍てついた夜』のベースの人。あと新しく入ったボーカル!」
身バレした。二人はそれなりに顔が売れていた。
女子高生が走り寄ってきた。
「あの、『凍てついた夜』のテツさんですよね。
あと、えーとジヌさん。」
繋いだ手を凝視している。
「二人は付き合ってるんですか?」
ホモ?って聞きたいだろう。
「男同士で恋人なんですか?」
興味津々な様子に
「そうだよ。俺たちゲイなんだ。
愛し合ってるの。」
「きゃー!」
若い子は柔軟だ。
「素敵です。応援してます。」
サインをせがまれて持っていたカバンに書いてやる。キャーキャーうるさい。
みんなと握手してやっと解放された。
一人のJKが何かの箱をよこした。有名なドーナツの店のだ。
「プレゼントでーす。今買ってきたの。
愛してまーす。」
「あ,ありがとう。」
ジヌは嬉しそうだ。
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