122 / 143
第122話 無邪気
「ベッドインって何?セックスすること?
ボクたちはまだ、最後まではしてないよ。
大人になるまでサブがダメだって。」
無邪気に言うあゆむに慌ててサブが
「人に言う事じゃないよ。
内緒にしておくんだよ。」
ジヌも赤くなっている。テツと顔を見合わせてしまった。
「テツが変な事、聞くからだよ。」
あゆむが
「テツとジヌもまだなの?」
「まだ、ってなんだよ。ノーコメントだ。
ジヌも何赤くなってんだよ。」
恥ずかしがっている大人たちにあゆむが
「でも、一緒にお風呂に入るよ。
ボクたち裸で抱っこもするよ。」
「あゆむ、人にそういう事を明け透けに言ってはいけないよ。」
サブがたしなめる。
テツとジヌは早々に、ママのパンを分けてもらって部屋に引き上げた。
「ふうっ、なんか中学生は進んでるなぁ。」
テツはあゆむの率直さが羨ましくも、あった。
紅茶を淹れるジヌの手を取った。ジヌも握り返す。見つめ合って、それだけで終わる。
いつもの事だ。
「あゆむのママのパン、美味しいね。
バターロール、ほんのり甘い。」
簡単な朝食を済ませて
「俺、スタジオでベース触ってくるよ。」
テツは行ってしまった。二人、どんな顔をしたらいいのか気まずかった。
心の中では求め合っているのに、不器用な二人だった。
(俺は誰かを好きになると、自分だけのものにしたくなる。束縛野郎だ。
これでナザレとも別れた。反省すべきなのに、また縛る事を考えてしまう。指輪とかバングルとか。)
みんなどうやって信じあうんだろう。
夜になって『ディアボラ』でミコトと話した。みんな二人の誓いをどうしているのか。
同性カップルには結婚も出来ない。不安はないのか?
ミコトは、東京での親代わりのヤマトとタケルの話をした。
「二人は背中にそれぞれ、龍と虎の刺青を入れてるよ。
死んでも離れないって誓った時に入れたそうだ。」
それを聞いて、レオンが上着を脱いだ。シャツを捲り上げて右肩を見せた。
腕まで一面タトゥーが入っている。
「傑の、瞳と、小さな龍を入れたんだ。あのグレースが入れてくれた。
ともだちにシェアしよう!