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第129話 ベッド
翌日、大きいベッドがテツの部屋に届いた。
「わっ、なにこれ?」
「凍夜からだ。配達の人が古いシングルベッドを引き取って行った。キースには言ってあるって。」
10畳ほどのワンルームにダブルベッドがデンと置かれた。ジヌの部屋のベッドも片付けられて広くなった。
凍夜とキースが顔を出して
「テツとジヌの部屋、二つ使えば狭くないだろ。
ソファはジヌの部屋にだけ有ればいいんじゃない。」
「新婚の部屋だもんね。
インテリアは好きにやっていいよ。」
テツとジヌは呆然とした。タイミングが良すぎる。とりあえず
「ありがと。お金は?」
「いいよ、大家の責任だ。ベッドは凍夜からだ。
あとはゲオルグに経費で落としてもらうから。」
業者がドカドカと入って来て、ベッドを設置すると、あっという間に去って行った。
「わあっ!大きいベッド!」
ジヌがダイビングした。テツはジヌを抱き寄せて
「ジヌ、これからもよろしくね。」
「僕たち結婚したみたいだ。」
「ちゃんとプロポーズしなくちゃ、な。」
テツはジヌの手を取って
「ジヌ、俺と一緒になってください。
一生幸せにします。」
「はい、僕も一生愛します。」
可愛いくちづけをした。
「ところで、ホストの仕事はもう続けられないよな。」
「え?なんで?」
「俺はいやだよ。
昨日だってあの客、ジヌを狙ってた。
誘われたろ。どうやって断ったんだよ。」
「あ、そうだ、犬を飼わないと嘘つきになっちゃう。」
テツは悩んでしまった。ジヌが可愛すぎる。
これからもこんな風に、心配しなければならないのか。
「僕も嫌だよ。テツは、女の人にモテるから。
昨夜だって、心配で辛かった。」
ジヌは、テツが仕事だからと姫に簡単にキスするのは嫌だ。
「テツは女の人に優しすぎるんだ。」
テツの胸に飛び込んで涙を拭いた。
「シャツで拭くなよ。可愛いなぁ。」
今日は日曜日。仕事は休みだ。スタジオに顔を出す。サブのところにあゆむが来ている。
スタジオのドアを開けると、みんなが揃っていた。大きなケーキが置かれて、みんなに拍手で迎えられた。凍夜がベッドを贈ったことを、みんなが知らされていた。
「おめでとう。
ついにテツとジヌは、結ばれたんだね。」
「結ばれたって、何?」
あゆむがサブに聞いている。
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